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《Suzuki No.81 (1967) 》資料[1-15]

《Suzuki No.81 (1967) 》資料[1-15]
1967年製。No.81 は1952年から1972年まで製造されていた。1967年当時の価格は53,000円 。1968年から調査が始まった大卒初任給の年次推移を見ると、この頃は3万円程だ。現在は21万円程なので、比較するとなんとなく販売当時の価値が想像できるのかもしれない。
メーカーを問わず古い国産4/4サイズ(世界基準の3/4程)はボディが大きい印象がある。この個体も例外ではない。スズキ特有の撫で肩のボディシェイプで、ネックは太くしっかりしている。
この個体は後年製造の同型番1970年製 [資料2-2]と比較してみると表板が若干薄く、他メーカーと比べてもこの表板は特別に薄い。
合板製なので音の軽さは仕方ないものの、低音は古いスズキ特有の“ボンッ”と鳴る感じで、全体的によく響く。アルコの音は鼻が詰まったような感じの音色が少し気になるが、全体的には古い合板の響きが心地よい。小傷や僅かなニス縒れが見られる他は大きな損傷もなく、良好なコンディションを保って長い年月を過ごしてきたと感じる。

Suzuki No.81 (1967)[1-15]
total length : 183cm
string length : 104cm
(body)
upper bout :  49.7cm
middle bout : 38cm
lower bout : 65cm
side :  21.3cm
height : 110cm

(sound sample)
strings : original flat-chrome(pirastro)

※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。これは私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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