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《Coin No.330》資料[1-4]

Coin No.330資料[1-4]
この個体は今回のコインの資料のなかで外観が最も醜く、そして最も音が良質という面白い資料だ。大きめのボディで、ボディ下部が70cm越えというドテッとしたスタイルで、ややアンバランスなかたちをしている。指板の材が通常のコインよりも硬く良質なものが使われている。削れによるノイズが少なくストレスなく弾ける。
表板は使用されているニスの縒れが激しく目も当てられない酷さだ。またネックがボディのセンターに在らず、かなりG線側に寄ってしまっている。ネックが斜めになっていたりする、こうした失敗したようなつくりの個体は他メーカーでも偶に見かけるが、ここまで大胆にずれていると、もはや意図的とも思えてしまう。
下部が大きめで全体も大柄なボディから鳴る音は、音量があり、低音の充実した太くて柔らかな質感がとても心地よい。古い合板材の質感も味わい深い。



Coin No.330資料[1-4]
total length :  183cm
string length : 102cm
(body)
upper Bout :  53cm
middle bout : 41.5cm
lower bout : 70.8cm
side : 19.8cm
height : 110cm

(sound sample)
strings : original flat-chrome(pirastro)

※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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