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《Cremona No.15》資料[3-1]

《Cremona No.15》資料[3-1]
クレモナのラベルには製作年が記されていないものが多いので、つくりや経年の具合をみて製作年を推察している。個体にもよるのだが(おそらく)60年代辺りのものは材が悪く、ナットも荒削りで全体的に粗悪な印象のものが多いのに対し、この個体のつくりは後年のしっかりしたクレモナらしい品質を有している。大雑把に70〜80年代頃のものと考えている。
全体的に傷が多いが雑に扱われてきた感じではなく、ハードワークに耐えながら奏者とともに歩んできた歴史が感じられる。ボディは一見は単板材のようにみえたりもするがオール合板製である。
合板材故の軽さと線の細さは残るものの、後述するNo.80[資料3-2]にも通ずるクレモナ特有の素直で安定感のある落ち着いた響きは、弾いていて心地よい。

Cremona No.15 資料[3-1]
total length : 183cm
string length : 104.5cm
(body)
upper Bout : 50.5cm
middle bout : 37.8cm
lower bout : 67cm
side : 22cm
height : 110cm

(sound sample)
strings : flexocor deluxe(pirastro)


※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。これは私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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