《スズキ》昭和時代の国産コントラバスメーカー#1

《スズキ》
・ラベル/Suzuki Violin Co.ltd
・社名/鈴木バイオリン製造株式会社
・創業者/鈴木政吉

昭和時代に量産型コントラバスを製造していたメーカーのなかでスズキは比較的情報が手に入れやすい。メーカー自体が現存しており、ホームページで過去の製品価格表を閲覧する事ができる。(ホームページの製品情報の最下段から製品価格表にアクセスできる。)
日本を代表する楽器メーカーであるので、メーカーについてはホームページやWikipediaを参照して頂ければ良いと思う。

中古市場では50年代終わり頃からのオール合板タイプ、表板単板/裏板合板タイプが多数確認される。楽器内部のラベルには、製作年、型番、サイズ(日本基準)が記されている。
スズキの代表的なガンバタイプのボディシェイプは特徴的で、なで肩のボディシェイプは操作性を優先しているのだろう。すらりとしていて見た目も美しく実際とても弾きやすい。 (古いNo.91、No.81にこのシェイプでない、ボディ上部の幅が広いガンバタイプも稀にある。)
スズキは国産メーカーの中でも特に均質に量産されている傾向があるが、古いものほど同型番での造りのばらつきが多いような気もする。一方で、型番は豊富だがいったい何処に仕様の差異があるのかと思うほど、違う型番でも同じ様なものもある。
オール合板製の楽器の表板は他メーカーよりも薄めのものがある。合板材をなんとか鳴らそうとする工夫なのだろうか。
古いスズキの楽器は合板製でありながらもハコの上鳴りだけでないずっしりとした重い低音が「ボン!」と出るのが特徴的だ。全体的にボアボアとして合奏では音が埋もれてしまい扱い辛そうな感じはするが、単体で弾いていて充実感はあり、音量もかなり出る。
購入した資料はどれもしっかりとつくられている。他のメーカーと比べてみても抜群の安定感がある。スズキは学販が多い印象だが、長年に渡り日本の教育現場で受け入れられてきたのが理解できる。
しかし、低価格帯の楽器に多くを求める事は出来ないと理解しながらも、スズキの音はなんとなく地味で面白味に欠けると感じるところがある。その点に“スズキらしさ”を感じてしまうというのも興味深い。日本の量産弦楽器メーカーの代表格のスズキは“平均的な答えを導く日本人らしい気質”が顕著にあらわている、と感じる。

【私が確認した主な型番(*サイズは日本基準)】

Masakichi Suzuki 1930(flatback)
No.B S-2 1949(flatback)
no.80 (表単板 vn 3/4)
no.81 (合板)
no.82
no.83
no.84(表単板?) 50's
no.85(合板 4/4,3/4、vn,gamba)
no.86 (合板 vn,gamba)
no.90(表単板 vn  3/4)
no.91 (表単板)
no.92 (表単板)
no.100(表単板)
no.130(表単板)
no.160(表単板)
no.180 (表単板)
no.200
no.400(側板合板)
no.28(合板)
no.30(合板 vn)
no.YB11(合板)

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