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《Cremona No.10(top solid wood)》資料[4A-6]

Cremona No.10(top solid wood)資料[4A-6]
クレモナのNo.10。前述のオール合板製[資料1-10]とはスペックが異なり、こちらは表板のみが単板で、ボディのシェイプも異なる大柄な個体だ。弦長も107.7cmと長めである。指板は黒檀が使われており、同型番でも明らかなグレードの差を感じる。
この個体は70〜80年代頃のものと考えているが、どうなのだろう。合板材の質は60年代頃のものより格段に良いと思われる。表板の割れ跡が丁寧に修復されており、オーナーに大切にケアされてきたのが伺える。
表板は単板だが、裏板と側板は合板なので、合板材由来の多少のボヤけが響きにでているものの、クレモナのこのスペックの製品は、他社と比べれば群を抜いて楽器として完成度が高い。
良質なエントリーモデルと言えよう。
クレモナ特有の派手さの無いマットで上品な響きで、低音から高音までのバランスが素晴らしく、弾き心地もとても良い。長めの弦長故なのか、特に伸びやかな低音が魅力的だ。


Cremona No.10(top solid wood)資料[4A-6]
total length :  184cm
string length : 107.7cm
(body)
upper Bout :  52.5cm
middle bout : 39.7cm
lower bout : 67cm
side : 21.3cm
height : 111cm

(sound sample)
strings : belcanto(thomastik-infeld)

※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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