《Kiso Suzuki No.4 (1965)》資料[1-14]
Kiso Suzuki No.4 (1965) 資料[1-14]
この個体は、他社の同時代の国産4/4サイズ(国際的基準の3/4程)と比べるとボディは若干小ぶり。全長、弦長も短い。ボディ形状は正面からみると上部が面長で広くボディバランスが面白い。
使われている合板材は粗悪な印象で、太めの魂柱が入っておりボンドで固定されていた。やや広めでアールの少ない平坦な指板がついている。オクターブの位置やネックの太さとの関係もあると思うが、私は弾くのに苦労した。
弦のテンションはとても弱く、軽くて輪郭がない、かなりこもった音色だ。コントラバスとは思えない程柔らかい音で一瞬まろやかもに感じる。しかし弾いていると劣化した粗悪な材の脆弱さからくる音質だとすぐに気付く。
一般的に合板材の音は芯がなく、輪郭がぼやける傾向にあるが、この個体はその性質が顕著にあらわれている。脆弱な柔らかい音も一周廻ってそれを個性と捉えられたら、という気持ちも生まれるが、悩ましいところだ。
キソスズキの型番No.4は同じ頃の年代で単板を使用した小さめのサイズが存在する。これについては後述する。
Kiso Suzuki No.4 (1965) 資料[1-14]
total length : 179cm
string length : 102.5cm
(body)
upper Bout : 48.6cm
middle bout : 36cm
lower bout : 63.8cm
side : 19.7cm
(sound sample)
strings : original flat-chrome(pirastro)
※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。
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