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《Suzuki No.91 (1966) 》資料[4A-3]

Suzuki No.91 (1966) 資料[4A-3]
スズキのNo.91は1954年製、1966年製、1968年製の3例を扱う。No.91は1952年から1972年までの20年間販売されていた。国産の量産コントラバスのこの20年間というのは、使用される材が次第に良質になっていったことが伺える時期だ。1966年製は、ちょうどその過渡期といったところだろうか。
(年代的な推移というよりは、たまたまそうなった可能性も高いが、)この個体は、50年代〜60年代はじめ頃のスズキよりは材は良質だが、後述するNo.91[資料4A-4]に比べると、やや粗悪な印象がある。このふたつのNo.91は年代が近い同メーカーの同型番だが全く異なる鳴りをする。
表板のみ単板タイプ。典型的なスズキのガンバタイプのボディシェイプは撫で肩でとても操作がしやすく、高音域、低音域のバランスも問題ない。この個体は、硬質で引き締まった音色で良く響く。この締まりのある響きは、一瞬、裏板/側板が合板材である事を忘れさせるくらいの充実感がある。

Suzuki No.91 (1966) 資料[4A-3]
total length :  183.5cm
string length 104.5cm
(body)
upper Bout :  49.5cm
middle bout : 38.5cm
lower bout : 65.0cm
side :  (up)19.0cm
         (mid to low) 21.5cm
height : 110.5cm

(sound sample)
strings : belcanto(thomastik-infeld)



※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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