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《Kiso Suzuki No.5(1970) 》 資料[2-1]


Kiso Suzuki No.5(1970) 資料[2-1]
このバイオリンシェイプは形が個性的で面白い。小さなボディにしてはサウンドホールが大き過ぎるような気もする。見た目が可愛らしい。サイズは国産3/4サイズ(世界的基準の1/2程)で、全長172cm程、弦長が99cm。とても小さい。側の厚みも極端に薄い。
音はキソスズキNo.4[資料1-14]と同質で、とても柔らかい音だ。こちらの方がボディが小さな分、低音成分は著しく劣り、一層音の脆弱さが際立つ。コントラバスというよりは、他の音の出る何かを弾いている気分になる。この籠もりのある柔らか過ぎる音質はキソスズキの個性と言っても良いだろう。音の弱さは材の劣化のせいも多少はあると思うが、正直、この弱々しい音で合奏は難しいのではないだろうか。自宅の部屋で触るくらいなら丁度よいのかもしれない。

Kiso Suzuki No.5(1970) 資料[2-1 ]
total length :  172.3cm
string length : 99cm
(body)
upper Bout :  46.7cm
middle bout : 34.9cm
lower bout : 60.5cm
side : 18.2cm
height : 104.2cm

(sound sample)
strings : original flat-chrome(pirastro)



※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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