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《Suzuki No.85 (1988) 》 資料[3-5]

Suzuki No.85 (1988) 資料[3-5]
昭和の終わり1988年(1989年の昭和は数日しかないので、実質昭和最後の年)製造のNo.85。スズキのNo.85は3/4と4/4サイズの2種類ある。
こちらは1973年から2003年まで作られていた国産4/4サイズ(世界基準の3/4程)。この製品の価格は年代によって上下しているが、1988年頃は19万円程のようだ。学生やビギナー用のエントリーモデルとして手頃な価格帯のような気がする。
スズキ特有の撫で肩のシェイプ。いかにも学校の部活で使われていそうな見た目で、ニスも厚く、丈夫につくらている印象だ。裏板上部に小さな化粧版のカケが見られるもののキズも少なくハードな使用感は見られない。
どうやら劣化した合板材は音の伸びやかさが失われていく傾向があるようなのだが、この個体は昭和の終わりの製造という事もあって、(例えば60年代の合板楽器と比べて)音に伸びやかさがある。
低音は控えめで弦鳴りが際立つ軽い響きだ。音色はスズキらしい“可もなく不可もない感じ”で、真面目さを感じる。

Suzuki No.85 (1988) 資料[3-5]
total length : 184.5cm
string length : 104cm
(body)
upper Bout : 48.5cm
middle bout : 38.5cm
lower bout : 65cm
side : 20.5cm
height : 20.5cm

(sound sample)
strings : flat-chromesteel(pirastro)



※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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