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《Kiso Suzuki No.4(1964) 》 資料[5-4]

Kiso Suzuki No.4(1964) 資料[5-4]
キソスズキのNo.4はオール合板製のタイプを前述したが[資料1-14]こちらはスペックの高いオール単板製。材は余り良くない印象だ。日本規準の3/4(世界規準の1/2程)サイズで、ボディはとても薄く小さい。
サンバーストの塗装はこの頃の流行りなのだろう。近年では見かけることはない。
キソスズキ製品はコントラバスとは思えない脆弱で柔らかな音が特徴的だが、オール単板ともなれば、なんとか通常のコントラバスの音となる。テンションはキツくなく緩過ぎず丁度良い具合で、合板材由来の音のボヤけもなく、音に芯が有る。高低域の響きのバランスはあまり良くない。
サイズが小さいので扱い易そうにもみえるが、キソスズキ独特のネックは私は相性が良くないのか、弾くのに苦労した。
キソスズキは、60年代にはこうした単板タイプの製品を製造していたのに、70年代以降は見かけなくなる。多くの例を見たわけではないので実際はどうなのだろう。戦後から急激に景気が上向いていき、時代とともに他メーカーは品質が向上していく国産量産楽器の傾向とは逆の動向をキソスズキはしたように思える。良品を生産するというよりは、とにかくコストパフォーマンスを徹底していったのではないか、と考えている。
記録は弦の選択に迷ってしまい、3種の弦、一部ガッド弦も試みた。


Kiso Suzuki No.4(1964) 資料[5-4]
total length :  172cm
string length : 99cm
(body)
upper Bout :  48.3cm
middle bout : 36.5cm
lower bout : 61.3cm
side : 18cm
height : 103.5cm

(sound sample)
strings : perpetual(pirastro)
           Jargar Strings
           gud strings(unkown)


※傾向として昭和時代の国産量産型コントラバス(特に70年代くらいまでのもの)は同一型番であっても“つくり”に大きなムラがある。また古い楽器はその個体がどの様に扱われてきたかで現状のコンディションに大きな差異が生じる。交換可能な部位はオリジナルかどうか疑わしい場合もある。録音は私がたまたま資料として出会った個体の記録でしかなく、記述は個人的な見解に過ぎない。採寸は素人採寸。

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