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起業して9ヶ月経って感じていること

起業準備をはじめて1年、起業して9ヶ月が経ちました。

昨日、ある会でもらった質問が良い振り返りになったので、書き留めておきたいと思います。


「起業してどうですか?」

一言で言うと「めちゃくちゃ良かった」です。

人からは「そのまま前職にいたら社長になれたんじゃないですか?」とか「雇われの身だと割に合わないですよね」などと言われましたが、僕は東証一部上場企業で社長になる、起業して上場させてキャピタルゲインを得る、といった地位や金銭にもともと全くと言っていいほど興味がありませんでした。

ただ純粋に事業をやる環境として、企業の中でやるよりも起業した方が良かったと感じます。

理由は主に3点あります。

1点目は長期的目線で事業運営できること

新規事業を立ち上げる、特にSaaSをやるには2-3年は時間を要します。

しかし上場企業は四半期ごとに利益を見られるのでどうしても短期で売上や利益を求められがちです。

今は良い投資家にも恵まれ、長期的目線で事業を育み、初期は価値あるプロダクトをつくることに時間を割くことを理解・支援してくれるので非常にやりやすいです。

2点目は資金が投下しやすいこと

VCの方々は数百億円レベルの資金調達を終えており、スタートアップの新しい事業に投資しようとしています。

事業会社における新規事業への投資は景気が悪くなるとすぐに引き上げられることもあります。

勿論、VCの方々から資金調達するにはきちんとした事業プランが必要ですが、上場企業で新規事業に投資してもらうよりは難易度が低いと感じました。(時にCAC/LTVはおろか、クラウドコンピューティングから説明しないといけないようなこともあると思います。)

プロダクトに対しても、初期段階からしっかりと資金投下できています。

3点目は人材が獲得しやすいこと

スタートアップで挑戦したいという優秀な人材が増えているように感じます。

資金調達環境が良くなり、スタートアップのベースとしての報酬水準が上がったこと、株式市場が好調で先人たちがSOで大きなキャピタルゲインを得ているなども理由かもしれません。

今までは中途採用で採用できなかったレベルのエンジニアやデザイナーと仕事ができています。


「期待値が高い分、失敗したらどうしようというプレッシャーはありませんか?」

結論から言うと、一定のプレッシャーはあります。

40歳で起業している分、「それなりにはやるだろ」という一定の期待値は当然あると思います。

起業したタイミングから密着ドキュメンタリー番組まで制作して頂いて、失敗した時の格好悪さといったらありません(笑)

ただし、「千三つ」という言葉がある通り、どんなスタートアップも成功する確率より失敗する確率の方が遥かに高いわけです。

僕たちも客観的に見ると失敗する可能性の方が遥かに高い。

経験は資金や人材を集めることやそれらを無駄なく活かすことには非常に役立ちます。

しかし、価値ある新たなプロダクトをつくることはどれだけ経験があったとしても、最後は「賭け」の部分が残ります。

やってみなければ分からない部分をなくすことはできません。

また、前職であれば新規事業に挑戦して仮に失敗しても、既存事業で収益を出していれば評価されましたし、既存事業の土台の上にまた別の新規事業を始めることもできました。

しかし、起業においては、新たな事業こそがすべてであり、それが立ち上がらなければ極論言うと「終わり」です。(ピポットするにも限度があります。)

社会的な信頼も大きく失われますし、それ以上に信じてお金を投資してくれた投資家や時間を投資してくれた従業員を裏切ることになります。

信頼が大きければ大きいほど、失敗した時の失望も大きくなります。

僕はプレッシャーに強い、言い換えると割と鈍いタイプなんですが、それでもヒリヒリしたものを感じながら日々生きています。

でも、それが楽しい。

何かがある程度約束されている、未来がある程度見えている舗装された道よりも、一寸先は闇という道を創る方が、「生きてる」って感じがする。

今年は土日祝日も関係なく新卒の時みたいに働きました。インキュベーションオフィスに入っていますが、夜帰るのは僕が一番最後になることも多かったと思います。

※ちなみに土日祝日も関係なく働いてるのは役員だけで、従業員は土日祝日は原則働けません。Day1から労働基準法を遵守している会社です。

それくらいやれたのも、良いプレッシャーがかかっていたからだと思います。

でも、昔ならば何かを変革しようと思えば、死を覚悟しなければいけない時代もあったわけです。フランス革命しかり、ロシア革命しかり、明治維新しかり…。

いつも失敗しても死ぬわけではない、後から後悔のないようにだけやろうと思っています。


以上が起業して感じていることです。

SlackやZoomは人の働き方を大きく変えました

スチュワート・バターフィールドがSlackを立ち上げたのが40歳(現在47歳)、エリック・ユアンがZoomを立ち上げたのが41歳(現在50歳)。

僕も40代で「社会に価値のある何か」を残せるように、ナレッジワークで人の働き方を変えられるように、精一杯やりたいと思います

※ナレッジワークでは人材を募集しています。特にバックエンドエンジニア(Go)を探しています!ご興味をお持ち頂いた方は麻野までTwitter DM頂ければ幸いです。



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