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歩くということ 2021.4.11      箱根宿~小田原宿

静岡から芦ノ湖まで約80km歩くのに5日もかかってしまった。平均すると一日16kmしか歩いてない!1日20kmくらい歩けるでしょって簡単に思ってたけど、20kg近くあるリュックがこんなに歩くことの負担になるとは思ってなかった。いますぐ、お腹の肉を切って体重20kg落としたい!ってほんとに思った(笑)とにかく、両足の疲労がひどくてあと100km歩くのかと思うとだいぶ気が滅入る。だから、その日のゴールだけ決めてそこまで必ず歩くぞ!と気合をいれて、その日のことだけ考えるようにした。そうしたら気持ちも身体もなんとかついていけるような気がした。

今日は、箱根宿から畑宿、湯本を抜けて小田原宿までの約15kmをゴールに決めた。

たったの15kmで小田原だ!小田原っていう地名が出てくるだけで東京にだいぶ近づく感じがするな、気持ちを鼓舞させながら歩きはじめた。箱根宿からの旧街道も、ずぅ~と石畳が続く。箱根宿までの旧街道と違うのは、石畳に苔がいっぱい群生しているのだ。石畳だけじゃない、岩や倒れ木にも一面、苔、苔、苔。富士山の樹海にも苔の群生が至る所にあるが、箱根旧街道でも見れるなんて!富士山の樹海では、群生している苔が生育するのに何百年もかかっているから踏んじゃダメですよ。と教えてもらったばかりで、石畳に群生している苔をよけながら歩いた。苔がそれだけ豊富にあるってことは湿度が高い状態を一年通じて維持できているってこと。

歩いていると、本当に心地良く、足の痛みからも解放されていく気がした。畑宿一里塚を超えると、街道の右手からさらさらと涼しげな水の流れる音が聞こえてきた。須雲川だ。なるほど~苔や草花が多く群生しているのはこの須雲川のおかげだ。


旧街道にはこの須雲川を横切るために手製の橋?板?が渡されている。川が増水したら渡れないような場所だ。須雲川を渡ると、水分を存分に吸収して空に向かってまっすぐ幹を伸ばす青々とした木々たちが生い茂っている。その木々の真ん中を走る細い旧街道を歩く。 なんて、贅沢な世界!胸いっぱいにありったけの空気を吸うと、元気いっぱいになる。よ~し、一気に湯本まで行くぞ~。

温泉宿が連なる湯本に着き早川に架かる橋を渡ると、小田急ロマンスカーが湯本駅に入っていくのが見えた。その向こうに箱根の山々が見える。あ~やっと越えてきた、箱根峠を。身体の力が一気に抜けるのを感じた。

橋を渡ったところにある民家の軒先で、ニコニコしながらこっちを見ているおばあちゃんが、ネギを片手に、美味いよ!持ってかないかって(笑)

このタイミングで “生ネギ” かっ! 生ネギじゃなくって大福食べたい!よ~(泣)

あんまりおばあちゃんが可愛くて、話し込んでいるうちにネギの育て方まで教えてくれたおばあちゃん。気が付いたらリュックに生ネギぶっさして、あんまりお腹がすきすぎて、生ネギかじりながら歩いた小田原への道。なんとも、苦くて、甘くて、初めての生ネギの味でした!おばあちゃん、お話しできてとっても楽しかったよ~ありがと~!

さあ、小田原まであともうひと踏ん張り。国道一号線に合流すると、看板が見えた!

なんと、東京まであと、88km!半分以上きたじゃないか!

あたりはさっきまでの箱根峠の景色とはほど遠く、コンクリートがはてしなく続くひとが暮らす街の風景。また黙々と歩きはじめ、今日のゴールの小田原宿にたどり着いた。小田原城周辺を歩くと、潮の匂いがするじゃないか!小田原の海がどうしても見たくなって、ほとんど動かなくなった足を無理やり動かして、小田原の海にでた。

おっ~!!これが、相模湾か!!

いつも見ている駿河湾からは伊豆半島が見えるけど、相模湾からは三浦半島が見える。なんだかそれだけで、よくここまで歩いてきたなと思えた。

悠々と空を舞う鳶を見ながらあまりの気持ちよさに、またしても寝入ってしまった。

相模湾の海と空の美しさが今でも脳裏から離れない。

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