見出し画像

日本の少子高齢化による人口動態の変化は、労働生産人口の減少、貯蓄率の低下、財政の悪化、内需型事業の停滞、という一連の悪循環に繋がっていることは周知の通りです。

政策総動員で少しでも少子化が止まるとよいのですが、そのハードルがかなり高いことは、日本国民のコンセンサスとなっている感があります。

周辺のアジアに視野を広げても、子供が働くまでに長い教育投資が必要で、その負担は米欧に比べると保護者がするケースが圧倒的に多く、その重さが、少子化の障壁となっていることも知られています。

そこで、親に相当なお金を渡そうという発想になります。日本において民主党が政権を取った時代、大胆な子供手当が大きな話題となりました。子供の数が多いとかなりの金額がもらえるということで、子だくさんの家庭は、一時的にその制度の本格導入を歓迎していましたが、財源確保などでは迷走、自民党になってからは、大胆な子供手当はしばし封印されてきた感があります。

その政策が、形を変えて、徐々に復活しそうな気配ですが、この10年で、少子化はさらに進んでいますので、形を変えた復活に、正面からの異論は少なくなっている印象です。財源を社会保障費の抑制に求めるなど課題はまだまだ山積ですが、それでも限られた財源を子育てのほうに配分し、今大きな話題の、小学校の先生方の若い担い手の応募が減っていることにも、待遇をある程度改善することで善処しないと、未来は描けないように思えます。

ここで世界に視野に広げると、確かに日本は一番最初に直面しており、先進国、アジアが続いていますが、世界的に少子高齢化、特に少子化が進んでいることは見逃せません。人口を現状維持しようとすると、出生率は2.1必要ですが、この水準をクリアしている先進国は、もはや、どこにもないのが実情です。

それをクリアできているのは、アフリカや中南米諸国を中心とする今はやりの言葉で言えば、グローバルサウスだけです。そのため、これらが移民として合法・非合法にかかわらず流入しそうな、米国は人口維持できると見込まれますが、その他の地域は、どこも人口減少時代を迎えます。

2040年で考えると、インド、ナイジェリア、インドネシアあたりが、人口大国で台頭、先進国で1カ国だけ奮闘するのが米国、そんな塩梅になりますので、その頃、社会人として油がのる現在の学生達に、先進国なら米国、次いで、アフリカも視野にインド、ASEANならインドネシアでの、事業は増えるだろう・・・と長期予測で語るのは、人口動態上は正しいことになります。

ただし、自分では今一つすっきりはしていません。日本の人口は、早晩1億人を割ります。足元のホームグラウンドが大きくぐらつくなかで、米国か新興大国かにかけろというのは、あまりにも無責任のようにも思えます。

人口減少は、非常にじわじわやってきますので、年単位では変化せず、10年単位です。全体の人口は減っても、大都市と中核都市の人口増はもう少し続きます。ですが、早晩、東京や福岡なども人口減少に転じます。大都市ほど出生率が低いため、結局総人口は減ってしまう不都合な事実があります。やはり、少子化対策で0.1ずつ、地道に出生率を上げていくしかないのでしょう。日本がほんの少しでも成功すれば、韓国、台湾、中国が必ず、追随してくれそうな塩梅ですので、岸田政権の「異次元の少子化対策」には大いに期待したいと考えています。













この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?