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アジアのサプライチェーンはどうなる(7)フレンド・ショアリングへの対応

米国発でフレンド・ショアリングという言葉が、静かに浸透しています。
サプライチェーンを見直すうえで、フレンド(友好国)重視という意味です。

政治経済では、フレンド(お友達)は、必ずしもいい意味で使われるわけではありません。反対意見を言わない人を集めたお友達内閣、採算度外視のお友達価格など、身内びいきは、良いことばかりではありません。


アジア諸国の本音は、フレンド・ショアリングを警戒していると言えるのではないでしょうか。サプライチェーンが先進国に回帰することは、アジア諸国の利益に反するし、高コストで先進国にとっても経済合理性がないとういう主張はごもっともです(以下参照)。


しかし、秘密・秘匿を守る、相手を裏切らない、そういう視座では、コストがかかっても、フレンドのほうが望ましいということになります。

米国が「インド太平洋経済枠組み」(IPEF)の発足を進めたのはなぜか?フレンド・ショアリングの考え方から見えてきます。IPEFには、サプライチェーンの監視が盛り込まれています。詳細を詰めるのはこれからですが、フレンドかどうか、IPEFで見極めていく可能性は高いといえそうです。


さらに、虎の子の秘密・秘匿は、自国から秘密・秘匿を出さない事でしょう。

そういうロジックで、日本に戻すかどうか、議論自体はありますが、これまでの円高時代に、既にサプライチェーンをシフトさせており、今更戻せない・・・というのが現実でしょう。

電力需給や、コロナでの入国の厳格さなど、日本の投資環境は、足元では円安急進とは言え、盤石とは言い難い面もあります。

それでも、これからさらに海外に移管しようとしていた部分は、日本に残そうということにはなるかもしれません。

そのうえで、海外から海外への生産移管は、機微分野(ハイテク)は米国議会の動き、非機微分野(ローテク)では国連人権委員会などからビジネスと人権の動くをウォッチし、虎の尾を踏まないようにすることが得策です。

IPEFは、今後フレンドのフィルターに発展する可能性がありますが、他方で日本のフレンドとは、果たしてどこなのでしょうか?相手もまたフレンドと考えてくれないと、この関係は成り立ちません。

安保と経済では、フレンドは必ずしも一体化する訳でもありません。私は、第三者がどう言おうと長い付き合いができる先、それがフレンドなのだろう・・・と思うのですが。






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