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ベトナムに関しては、友好国?という位置づけなのか、日本ではネガティブな報道が抑制されている感があるような気もしますが、現在の経済状況は、非常に調子が悪い・・・とみています。

既に、景気浮揚のために、通貨安のリスクがあるにもかかわらず、なりふり構わぬ利下げモードです。
生産もふるわず、不動産は、中国の陰に隠れていますが、絶不調です。
日本総研の熊澤研究員と野木本研究員が、コンパクトにうまくまとめています。

https://www.jri.co.jp/MediaLibrary/file/report/research/pdf/14247.pdf

え?ベトナムって、中国離れで一番暁漁夫の利を得るんじゃないの?
投資が拡大するんじゃないの?なんで、そんなことに?

とういう方もいらっしゃるかもしれませんが、実は、昨年後半からベトナム経済が調子が悪い・・・というのは、アジアウォッチャーには認識はされていました。

ベトナム経済を支えているのはやはり輸出になりますが、その輸出先が調子がよくありません。米国向けが伸び悩んでいます。

みずほリサーチ&テクノロジーズの井上エコノミストは、世界経済のショックの影響をベトナムは大きく受けると分析しています。

https://www.mizuho-rt.co.jp/publication/report/2023/pdf/insight-eg230724.pdf

それは仕方ない・・・ベトナムのせいではないじゃないか。
じゃあ、内需は・・・ということになりますが、そちらが問題です。

前述の通り、不動産が低迷しており、内需の足を引っ張ています。不動産の調子が悪ければ、鉄鋼、セメント、家具、自動車など、周辺への影響は甚大です。

諸説ありますが、単的にいえば、ベトナムにおける不動産神話が崩壊した・・・という声も聞かれます。ただ、コロナで金融緩和が続き、そこで不動産市況が活性化したのは世界共通です。その後の、金利上昇局面で、不動産にある程度調整が入っているのも、金利引き上げを躊躇する日本を例外とすれば、これもまた世界共通。

じゃあなぜベトナムの不動産は・・・。
引き金は、2022年10月に大手デベロッパーのタンホアンミン・グループの経営者が債券市場操作の容疑で逮捕され、社債市場が混乱、銀行融資への影響も危惧されていることにあると考えられています。

なんだか、ベトナムの隣の大国の中国と相似形の事件の様相で驚かされます。そして、不動市場が急落、銀行の不良債権が急増・・・どこかで聞いた話とそっくりです。

実は、ベトナムも中国も、かなり強固な管理フロート制を採用しています。完全な固定相場ではないものの、政府が強固なコントロールを行う相場制なので、固定に近い形です。為替のトリレンマの原則から、このケースで金利を自由に設定するとなると、強固な資本規制を敷かないと資本の大流出が起こり得ることになります。

何を言いたいかというと、ベトナムと中国は資本規制がいまだにタイトであり、株、債券といった金融市場が国際市場とはダイレクトにつながっていません。したがって、そういう内向きの市場では、不動産が、投資の選択肢として選ばれやすい。加えて、ベトナムも中国も、銀行セクターの過半は国有銀行が押されていますので、国有銀行の融資によるある種の官製ミニバブルも、逆に、高騰し過ぎて、市民の反発などが高まった場合の融資引締めにいるミニバブルの意図的な崩壊も起きやすい・・・という仮説を小職は考えています。

きちんとデータで実証できませんので、あくまで仮説ですが、管理フロート制度、官製銀行、このあたりに、今回のベトナムの不動産不調の一因もあるようにも思えます。

他方で、ベトナムの全方位外交は健在です。
バイデン大統領の訪越は、日本企業に安心感を与えるはずです。

中国のみならず、ロシアとも太いパイプを維持するなど、やり手・・・というよりは、やり過ぎ・・・の感もありますが、それが一定程度許容されているのがベトナムのようにも思えます。

ベトナムの内外需、前述の仮説については、深耕していく所存です。







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