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坂本龍一のメディア・パフォーマンス その3


坂本龍一のメディア・パフォーマンス


2023年9月23日(土)には武蔵野美術大学 美術館において開催中の展覧会「生誕100年 大辻清司 眼差しのその先 フォトアーカイブの新たな視座」の関連企画として、トーク+コンサート「『クロス・トーク/インターメディア』の電子音楽」が開催されます。

生誕100年 大辻清司 眼差しのその先 フォトアーカイブの新たな視座

どうして書籍「坂本龍一のメディア・パフォーマンス」を紹介しているこちらのnoteのシリーズにおいて、1969年2月に開催されたメディア・イベント「クロス・トーク/インターメディア」を回顧するコンサートを紹介するのかというと、「クロス・トーク/インターメディア」は高校2年生であった坂本龍一さんが観客として訪れており、それは「坂本龍一のメディア・パフォーマンス」の前提として重要であると考えているためです。

トーク+コンサート「『クロス・トーク/インターメディア』の電子音楽」について、上のリンク先のために以下のような紹介文を書きました。

1970年の大阪万博を一年後に控え、東京・国立代々木競技場第二体育館では三夜にわたるメディア・イベント「クロス・トーク/インターメディア」が開催されました。このイベントでは当時の日米における最新の現代音楽を中心に、映像/舞踊/照明/美術などとの大規模なコラボレーションが実現しています。

「クロス・トーク/インターメディア」は、大辻清司も参加していた前衛芸術集団「実験工房」のリユニオン的な側面もあり、秋山邦晴/今井直次/武満徹/湯浅譲二/山口勝弘らが参加していました。大辻清司は写真家としてリハーサルの模様を撮影しており、その写真は本展「生誕100年 大辻清司 眼差しのその先 フォトアーカイブの新たな視座」で展示します。

トークでは「クロス・トーク/インターメディア」というイベントの概要について川崎弘二氏による解説、そしてコンサートでは「クロス・トーク/インターメディア」において上演された、一柳慧/武満徹/松平頼暁/湯浅譲二の電子音楽を、檜垣智也氏の演奏によるアクースモニウム(多数のスピーカーによるオーケストラ)によって紹介します。

トーク+コンサート「『クロス・トーク/インターメディア』の電子音楽」


書籍「坂本龍一のメディア・パフォーマンス」に収録されたインタビューにおいて、坂本さんは「クロス・トーク/インターメディア」の想い出を以下のように語っておられます。少しだけ引用します。

憶えていますよ、あれは。代々木の体育館で開催されたこのイベントをいちばん鮮明に憶えています。ライティングも凝っていておもしろかったんですよ。(略)強烈に印象に残っているのは、大きな体育館の真ん中に人間が立っているパフォーマンスでの光の演出です。体育館の左右にライトが設置してあって、一方から強い光で人間を照らす。

ライトがバンッと切り替わって、反対側からの光で人間が照らされる。人間は動かないでただ立っているだけなのに、一瞬にして移動しているように見えるんですよ。目の錯覚ですけれども、ライティングというのはおもしろいことができるものだと思って、いまだに強く憶えていますね。

書籍「坂本龍一のメディア・パフォーマンス」


坂本さんが「強烈に印象に残っている」とおっしゃっている「パフォーマンス」とは、サルヴァトーレ・マルティラーノの「L's GA」という作品であるものと思われます。

美術手帖 1969年4月号


2023年9月23日(土)のコンサートでマルティラーノの「L's GA」は上演いたしませんが、17歳になったばかりの坂本さんも国立代々木競技場で聴いていたはずの、一柳慧/武満徹/松平頼暁/湯浅譲二の電子音楽をアクースモニウムで上演します。イベントは入場無料/先着順(予約不要)ですので、ぜひお早めにお越しください!


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