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パニック(過呼吸)を軽くする、たった一つの運動

パニック障害は、突発的な不安恐怖や動悸、呼吸苦、発汗、めまいなどの自律神経症状(パニック発作)を引き起こす精神疾患である。抗うつ薬などにより発作を抑えられた後も社会復帰することへの強い恐怖が持続する患者は多く、薬物療法と併用し得る心理・行動療法的なアプローチの必要性が唱えられている(Kaplan & Sadock’s Synopsis of Psychiatry, 2007)。一方、パニック発作以上に激しい恐怖、回避、自律神経反応を呈するPTSD(心的外傷後ストレス障害)に対してEMDR(Eye Movement Desensitization and Reprocessing)という一種の水平眼球運動の有効性が数多く報告されている(Bisson, 2013)が、この作用機序はまだ明らかではない。申請者は、パニック障害の本態が青斑核(LC)から投射するノルアドレナリン系ニューロンと考えられていること、水平眼球運動に関与する舌下神経前位核(NPH)はGABAを介したLCへの抑制性入力であることから、水平眼球運動がPTSDと同様にパニック障害に対する薬物との併用療法として著効するのではないかと仮説を立てた。さらに、NPHはストレスホルモンであるCorticotropin Releasing Factor(CRF)含有ニューロンである(黒瀬, 1993)ことから、ホルモンおよび神経入力双方からの効果が寄与するのではないかと考えられます。

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