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富士山登山鉄道構想に反対する

富士山の吉田口へのアクセスとして富士スバルラインがあるが、そこにLRT(次世代路面電車)を敷設する案が構想されている。概要は以下の通り。

・排気ガスを出さないので環境負荷が低くなる
・登りに52分。現状のバスとほぼ同じ
・既存のバス等の車両は通行できなくなる
・運賃は往復で1万円程度が見込まれている。現在の富士山駅・河口湖駅 ~富士スバルライン五合目のバス往復運賃は2,800円。
※ただし、「県民、日本人は運賃支払う必要はない」と山梨県の長崎知事が発言している。入山料さえ徴収できていない(する気もない)現状からすると、往復運賃に1万円も取れるとは到底思えない。なので案外、知事の発言どおり無料に、あるいは現状のバス代と同じ程度になるのではないか。

いろいろ物議を醸しているようだが、この鉄道案が実現するとどういうことが起きるか、考えてみた。

日本人は現状通り、外国人は他のルートへ流れる

長崎知事の発言通り、日本人の鉄道利用が無料になるなら、吉田ルートから登る日本人登山者は激増する。現状でも登山者が多すぎて危険だというのに、登山者数を増やすのはどうなんだという気もするが、多分流石にリップサービス的なものだと思う。登山道どころか、吉田口5合目がパンクする。
現状のバス代より安くなるとかあり得ない。恐らく同じ程度になるだろう。そのため、日本人登山者数にも変化はない。

そして外国人登山客のうち、あまり裕福でない方は、他の登山ルートを利用するようになる。これにより、

混雑が軽減される

現在は富士登山者の半分以上が吉田ルートを利用しているが、そのうちの外国人登山者の中には、割高になる吉田ルートを嫌って他のルートを選ぶ方が増えるため、混雑は軽減される。
まあ単にバラけさせたいだけなら、吉田ルートからの入山料を2万、その他は1万とかにすればいいだけな気もするが、入山料を取る選択肢は知事には無いっぽいので。

他のルートの魅力が掘り起こされる

他のルートから登ることにより、そちらの魅力に気づく登山者も増える。

須走口ルート:原生林の美しい森から始まる、バラエティに富んだルート。
御殿場ルート:大砂走りを全力疾走で駆け下りる。超楽しい!
富士宮ルート:宝永火口が間近で観られる。ダイナミックな光景は圧巻の一言。

と、吉田ルート以外のほうが明らかに富士山の魅力が詰まっている。
あまり知られていなかった富士山の魅力が、より多くの(外国人)登山客に知れ渡るようになり、リピーターも増える。きっと静岡県側は、登山客が増えて大喜びだろう。

「富士山は遠くから眺める山で、登る山ではない」などと言う人がいるが(というか私もそうだったが)、全くそんなことはない。それは富士山に登ったことがないか、吉田ルートでしか登ったことがない人の意見だ。登ってみなければ見えてこない、富士山にしか無い魅力があるのだ。

結論

だからこそ私は、富士山登山鉄道構想に反対する。

富士山の魅力が知れ渡っては困る。登山客はこれまで通り吉田ルートで過密状態になっていただき、それ以外のルートは閑散としていて欲しい。私は静かな登山を楽しみたい。

鉄道よりも、5合目からでいいから、山頂までケーブルカーを引いてもらいたい。
箱根駒ヶ岳のロープウェーや、伊豆の大室山のリフトなど、山頂まで楽にアクセスできる山はある。山頂までお気楽に行けて何が悪いのか。
足腰が不自由な人でも富士山頂に立てる価値は高いはずだ。健常者であっても緊急時に下山できるのはありがたいし、山小屋の荷揚げにも利用できるだろう。
荷揚げ用にブルドーザーの専用道路を作ってるんだから、今さら景観がどうとか言わないでしょ?

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