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宇宙猫・襲来!?~ねこの日ショートショート

 牧場の牛に異変が起き、宇宙『猫』の仕業ではと騒がれている、という噂を聞き、UFO愛好家の僕は、喜び勇んで、アメリカはカリフォルニア州へ飛んだ。

 現地に着くと、牧場は家族連れで賑わい、お祭りムードだった。宇宙の侵略を予感させるものも、同好の士らしき姿も見られず、平和な休日以外の何ものでもない。
 下手くそな英語で牧場主に尋ねると、はにかんだ笑みを浮かべ、くだんの牛の所へ案内してくれた。

『Cat’s Le Mutilation』
 手書き看板の先、のんびり草を食むホルスタインの親子。キャトル・ミューティレーションなら、つづりが違う。首を捻った僕は、次の瞬間吹き出した。
 特徴的なぶちに、黒猫が遊んでいる。最近生まれた子牛に、偶然現れた模様らしい。町おこしを兼ね、近所の牧草地には、地元の青年達が作った、ニャステリー・サークルもあるという。
 牧場主と同じ顔で微笑み、僕はカメラのシャッターを切った。