どこでも住めるとしたら、ハウルの動く城に住みたい
もう応募期間は過ぎていたが、投稿コンテストの「#どこでも住めるとしたら」というテーマに惹かれたので勝手に書いてみたいと思う。
30代、周りでは家を購入する先輩や友人がチラホラ現れ始め、自分の「家」を持つことに対する関心が強くなってきた。けれども、うちは仕事柄夫婦揃って基本的に転勤族で、大体同じところで仕事してるのは2〜5年程度。仕事内容に場所が密接に関わってくるためだ。けれどもけれども、子どもが小学校に上がったら転校しないで高校くらいまでは卒業させたい。となると、仕事内容を調整して職場に掛け合い、いつ頃からどこに家を構えるか…現実的に考えると、もうこの辺りで頭が疲れてくる。ちょっと、また今度考えよう。
叶うなら、「ハウルの動く城」に住みたい。あれってよく考えられてるよね、本体のお城は荒地をふらふら動いてるけれど、そこから扉で繋がる3ヶ所はちゃんと街中に家を借りてて、扉のハンドルを回せばその扉の出口に出れるようになってる。
現実的に考えたらかなりお金は掛かりそうだけど、夫の職場近く、私の職場近く、祖父母宅の近く(夫婦で同郷なのです。)にそれぞれ扉を繋いで、本体はアイルランドの田舎とかでぷかぷか浮かばせたい。フィンランドもいいな。その場合子供の学校は祖父母宅の近くで!
(ちなみにハウルといえばジブリ映画が有名だけど、私はダイアナ・ウィン・ジョーンズの原作が好き!話が結構違うんですよね。映画のお城のビジュアルとハウルの声(キムタク)はとても良いけど、ストーリーとしては小説が好き。)
コロナ禍で、リモートワークや地方移住という発想が生まれたけれど、皆がそれをする(できる)とは限らない。もちろんそれぞれの価値観で、地方に住む選択をする人もいると思う。でも、私は転勤のある今の仕事が好きなのだ。夫にも、好きな仕事を大切にしてほしいと思っている。一方で、家族や子供のこれからの進路について、こういう環境で、という理想もある。時間にもお金にも空間にも限りがあって、当たり前だけど全部を選び取ることは出来ない。結局ここでも、私達家族が、私が、「何を選択するか」なのだけど、もしも全てを選べる魔法があるなら。
慌ただしい一日をこなして、一息つく夜に満天の星空が見たい。
休日の昼下がりに起き出して、田園や古城跡を散歩したい。
ピリッと刺すような寒さの中、一面の雪景色を見て頭の中を空っぽにしたい。
そしてまた、仕事や学校に、精一杯向かっていくのだ。
…ちょっと欲張り過ぎかな。
でもこうやって書いてみると、案外そこがアイルランドやフィンランドである必要はないのかも。満天の星空はなくても、街明かりの上ぽっかり浮かぶ満月にほっとする夜もあるのだから。
きっとぎゅうぎゅうに詰め込んだ日常からふっと離れるきっかけが欲しいだけなのだ。そして、大好きな家族と一緒に暮らして、会いたい人に会いたい時に会いたい。
いくつもの名前を使い分けるハウルに「一体いくつ名前があるわけ?」とソフィが聞く。ハウルの答えは「自由に生きるのに必要なだけ」。家族、友人、仕事、そして自分、とたくさん大切なものを抱えて身動きが取れない私はきっと『不自由』だ。でも、『不自由』がもたらす幸せも自由も確かに在ると思う。
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