藝大アトリエ見学に行ってきましたその2

(※これは藝大アトリエ見学に行ってきましたの続きです。前作から読んでいただけたら幸いです。)
次の日、藝大油画と建築科の見学に行ってまいりました。
歩き慣れた上野公園を横目に大本命の油画科の見学に胸を躍らせながら歩き、絵画棟の近くまで行くとあるひとりの女性に声を掛けられた。

「絵画棟ってどこですか? 」

もちろん私も分からない。
もしかしたら、藝大生と勘違いされるという最高に名誉な事が今起こってるのではないか。
そう考えた私は、素直に言った。

「すみません、僕藝大生じゃないのでわからないです。でも、地図見た感じ……」

何度かガチめに間違えられたことがあるので慣れてはいたが、なんとなくの感で近くの建物に指を指した。
お姉さんとオドオドとしていると、そこに人が集まってきたのでそこじゃないかと言うことで解決し、その場を後にした。
速攻で埋まったとは聞いていたがいうて30人ぐらいだろう。
そう思ってはいたがまぁ人が来る。
そして来る。
……勘弁してくれよと内心思いつつも列を作って待っていた。
そして、何故か男の子と目が会い軽く話しかけてみた。
最初は少し驚いた様子であったが、気がつけば普通に喋っていて、絵を見せあってりしていた。(この時はほんとに絵がやばかったので多分少し引かれた)
そしてその子は石膏像がまぁ上手い。まじで。
色んなノウハウを教えて貰いながら見学が始まった。
アトリエ内を見れるのかなと思っていたが、目にしたのは様々な絵の数々。
でも、結構参考にはなったりして漆をどうにか使いたいという私に刺さる作品もあった。
そう、漆が絵画に使われてたのだ。
映画館であろうか。
漆の黒が全面に押し出されていて、黒をタッチとした狂気を感じる作品。
ヘタウマというのだろうか。
それでも、この1枚はどこか脳裏に焼き付いていた。
写術、抽象画などなど目に余るほどの魅力的な作品を見て、仲良くなった男の子と外で感想を喋っていた。
彼はどっちかと言えば写術よりで画面を4つに割る絵画を描いていた。
当初、油の参考作品がなかった私はエスキースを見せたりして話の輪を広げながら藝大内を闊歩していた。
その途中、たまたま建築科のアトリエ見学が実施されているという札を見つけ、しかも見学不要と描かれていた。
それなら一緒に行こうっていう話になり2人ウキウキしながら中へ入っていく。
そして、2人口を揃えて言った。
レベルが高すぎると。
建築科はファイン系の2人にとって、未知の領域。
それが悪をなしたのか、理解が追いつかなかった。
でも、新しいことだからこそ、気づける発見もあり楽しかったのは覚えている。
最後、彫刻科のアトリエの前を軽く歩き、男の子の両親の元へ送りその場を後にした。
帰り道、僕は油画のことでいっぱいだった。
早く入って描きたい。自分の作品を見せたい。
見て!もっといっぱい見て!
藝大に入らせて!
いや……入るんだ。絶対。
来たことがとても良かったと思えるアトリエ見学なのだった。

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