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いっそ嫌いになれたら、どんなにラクだろう…

いま片思いしている職場の年下男子は
典型的な回避型愛着スタイルを持つ
追いかけると逃げる人。
頭ではそれがわかっていても、
ついつい追いかけモードに入ってしまうわたし。

人を思い通りに動かしたい欲求が強いわたしは
彼に

こんな反応を示してほしい…とか
もっと優しく接してほしい…とか
もっと話し掛けてほしい…とか

ああしてほしい
こうしてほしい
こうなってほしい、と
わたしの理想や妄想を心の中でいっぱい押し付けてしまう。

だけど、彼は彼なのだから
思い通りになってくれるわけもなく、
苦しい思いで心の中がいっぱいになってしまう。

そして、その苦しみはやがて攻撃的な思いになって
彼へと向かいそうになる。
あるとき、どうしても抑えきれなくなって
彼を本当に攻撃してしまった。
あからさまに冷たい態度をとり
大人げなく彼を半無視した。

もうこの恋を終わりにしてしまいたくて、ヤケになってた。
嫌いになれたらどんなにラクだろう、と思ってしまった。
彼に嫌われたら諦めがつくんじゃないかと思った。

けど、ますます彼のことが好きだということを
自覚させられる結果になってしまったのだ。
やっぱりこの人のことが大切なんだ。
このまま失いたくない、と。

明らかにわたしと距離をとるようになり、
平静を装いつつもわたしを敵視している彼に
勇気を出して頭を下げた。
ひどい態度を取ってごめんなさい、と。

彼はわたしの謝罪を受け入れてくれて、
そのときは二人の距離が少し縮まったような気さえした。

これからはうまくいき始めるかも!
そんな期待から、もう追いかけないと決めていたのに
またつい追いかけてしまう。
そして追いかけると彼は逃げる。

追いかけるといっても、
わたしの心の中で
もっと話したい、とか
話し掛けてほしい、とか
そういう欲が顔を出してきて
それが少し態度に出ているだけなのに、
彼はそれを敏感にキャッチして
距離を取ってくる。

そして、面白いことに
追いかけているじぶんに気づいて
わたしのほうから距離を取り始めると
彼のほうが距離を詰めようとしてくる。

もう、ずっとこの繰り返し。
磁石の同じ極どうしみたいに。
そしてあるとき、思ってしまった。
この人は、わたしには手に負えない人だ…と。
無理だわ…と。

もしもこの人と付き合えることになったとして、
わたしは本当に幸せだろうか。
わたしが期待した行動も言葉もないだろうな。
恋人どうしになっても
ずっとこの人のこのペースは変わらないだろうな。
苦しいことに変わりはないだろうな。
そう思ってしまった。

だから、彼をあきらめることにした。

そうしたら、じわじわと悲しみが込み上げてきた。
あぁ、わたしは今、悲しいんだなぁ。
そして、とてもむなしい。
欲しいものをあきらめなければならないときの
絶望感のようなものをしばらく味わい、
涙と鼻水をいっぱい流しながら過ごしていた。