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平日昼間のたべっ子どうぶつLAND

9月のある日、もう少しで有休が消滅することに気づいた。
これはいかん、有意義に使わなければ。
とはいえ、そんなに用事もないし楽しい予定もない。

会社から近いし、たべっ子どうぶつ好きだし、ちょっと気になるしということで、たべっ子どうぶつLANDに行くことにした。

チケットをオンラインで買うときにちょっと嫌な予感はしていたんだ。
「チケット」「カチューシャ付きチケット」があるのだよ。
なんだカチューシャ付きって。
しかも「おみみ」タイプと「ぬいぐるみ」タイプがあるではないか。
気にはなるが中年サラリーマンの選択肢には入らないので「チケット」を選択した。

そして午後半休を取得し会社を出ようとしたら、連絡やらめんどくさい依頼やらが押し寄せてきた。マーフィーの法則か。古いな。しかもそれ読んだことないし。
時間指定のチケットなんだよ、早くたべっ子に会いたいんだよと心の中でつぶやきながらざくざくと仕事をやっつけて、入場時刻を30分以上過ぎてなんとか到着。
たべっ子・・・。

若い女子しかおらん

例のカチューシャはこういうものかと会得したのもつかの間、若い女子たちとカップルと子供連れファミリーしかいない空間にブリーフケースを抱えてヒールをはいた中年サラリーマンがひとりで迷い込んでいる図がもう、なんというか悲しみしかなかった。
完全に仕事サボってる図だし。

完全に場違いだがたべっ子が好きなんだから仕方ない。ニワカじゃないぞ本物のファンなんだ。
幼稚園に入る前くらいからたべっ子の記憶は始まる。
当時は箱の裏に英語だけでなくいろいろな国の言葉で動物の名前と鳴き声が書いてあった。最近は英語しか見ないのだがもうないのだろうか。
それを家族で読み上げながら食べたものだ。そしてその各国語の部分を切り取って集めていた記憶もある。
次は高校生の頃だ。たべっ子は学校の購買部で売られていた。高校生はやたらとおなかが減るので、よく休み時間に買っては友達とかっこいい男子の話をしながら食べていた。その頃からこのビスケットのことは「たべっ子」と呼ぶようになった。
そして社会人になってから、同僚と小分けパックタイプを残業しながら、あるいは上司の悪口を言いながらよく食べていた。当時の同僚たちは今でもたべっ子を見るとわたしのことを思い出すらしい。
物心ついてから数十年、いつもたべっ子と一緒だったんだ。

そんなノスタルジーに浸る間もなく、ひとりで来てしまったために撮影スポットで自分の写真を撮ることもできず(撮りたいかは別だ)、若い女子が9割を占める中でなんとか思い出を作ろうとした。

うさぎさんのドーナツだよ

3日前に買ったミスドみたいな味と唾液をすべてもっていかれる乾燥具合だったが、ここは味をどうこう言う場ではないんだ。うさぎさんがついてるんだからそれでいいんだよ。
そしてトレイに敷いてある間違い探しが意外と難しかった。脳が老化しているのか。ここでも突きつけられる悲しい現実。きっと周りの若い女子はすぐに間違いを見つけられるんだろう。

たべっ子どうぶつの歴史を描いたパネルもあって、大変興味深かった。
どうぶつは46種類もいるんだって! その製造ラインを作ったギンビスは本当にすごい。46種類の動物名を挙げられる気がしない。しかしそんなにどうぶつがいたのか・・・マンダリンダックばかり入ってるイメージが強いんだが。
そして今年はたべっ子45周年なんですと。ああ、来てよかった。

元祖が「動物四十七士」

お菓子に「四十七士」って名付けるあたりが昭和だし、なんならその名前も好きだ。ま、その場合はグッズとしてカチューシャの企画は通らないだろうな。動物の紋を入れた裃をキーホルダーにしたグッズとかならいけるか。

そして、この日はねこさんがいた。

若い女子たちは「ねこさーん」と呼んでいた


わたしも心の中でで「ねこさーん」と呼んでいたのだよ


でもわたしの方を見てくれなかったんだよ

今思えば、ブリーフケースを抱えた中年サラリーマンにカメラを向けられて ねこさんも困っただろう。
会社サボった大きなおともだちに会いに来られてもな・・・。

5年後、50周年記念でLANDがやってきたらまた行くだろう。




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