奈良県産の靴下「SOUKI」から学んだ、"きちんと選ぶ"価値観
みなさんは、靴下を買うとき何を基準に選びますか。
わたしの場合は、3足で1,000円がうれしいときもあり、わかりやすい見た目の好みで手に取ることもあれば、履き心地に特徴のあるものを選ぶこともありました。
この春、奈良県のSOUKIの靴下に出会い、素材や編み方、つくり手の思いなども選択肢に加わりそうです。
毎日のように使うからこそ、丁寧につくられたものを選びたい。そう思うようになりました。
完成された形に何を求めるか
SOUKIの靴下をみた第一印象は「シンプルでなんか良い」でした。
"なんか"の要因は「ローゲージ」という太い糸でざっくり編んだようなつくりにありました。この編み方がSOUKIの靴下の特徴ともされています。
SOUKIのnoteの記事には、こんなことが書かれていました。
──そっか、靴下って"編み物"なんだ。
──季節によって素材を選ぶと良いのか!
身近すぎて知らなかったこと、気づきが次々とでてきました。
靴下そのものは、すでに形が完成されたものかなと思っています。
その中で、わたしは靴下に何を求めるのだろう。SOUKIのものづくりを知ると、その選択肢が増えてきたのです。
「SOUKI SOCKS」と「Re Loop」
SOUKIが展開している、ふたつのブランドの靴下を送っていただきました。
ひとつは光沢のあるリネンをたっぷり使った「SOUKI SOCKS Branch-ブランチ-」。
天然素材のリネンは、吸湿・放湿に優れていてハリがある素材なんだそう。ローゲージで編まれているため、肌に特徴的なリネンの感触がよく伝わってきます。
長さがあるのでクシュっとさせたり、折ったりするのも良さそうです。
夏にぴったりな軽めの履き心地。
光の透け方からも通気性の良さがわかるかと思います。
細めの糸のためか、さらさらしているようにも感じますが、わたしにとっては今までにない感触でした。
サイトの商品説明に「畳の上を歩くような不思議な質感」とあるように、まさに初めて着用した慣用は「不思議な感じ」でした。それが今ではすっかりやみつきに。素材の良さを実感したい人におすすめしたいです。
もうひとつがリサイクルコットンを使用している「Re Loop」。
日本国内の紡績工場で、糸を紡ぐ際に落ちてしまうわたを利用したリサイクルコットンなど、3種類の綿糸を掛け合わせているのが特徴です。
糸を組み合わせていることによって、でこぼこした風合いを生み出しています。
しっかりとした厚みのおかげでクッション性は抜群。実はこちらも通気性がよく、吸水性にも優れているので夏にも活躍してくれるのだそう。
実際にわたしも1日外を歩き回ったあと、靴を脱いだ瞬間にそれを実感しました。靴下の中に熱がこもっていなくてさっぱりしていたのです。
正直なところ、「夏の快適さ」については疑っていたのですが、いい意味で裏切られました。今では家にこもっている日もこの靴下を履くようになりました。
1年を通して愛用できる靴下を探している人にピッタリかもしれません。
SOUKIがあるまちの靴下づくり
この記事を書くにあたり、SOUKIで企画営業をされているネルソンさんに時間をいただき、創業や靴下づくりのお話を伺いました。
SOUKIは1927年に奈良県広陵町で創業され、90年を超える歴史があります。もともとは農家の副業だったのも興味深いお話。
広陵町では同じような経緯で家族経営による靴下製造業者がたくさんいて、親戚が同業者というケースもあるのだとか。SOUKIでも、一部の仕上げの工程は親戚の事業所にお願いしているそうです。
わたしも小さいころに親戚で集まって田植えや稲刈りを手伝った記憶があります。農家としての繋がりが、新たな生業でに移行しても残っているのに驚きました。そして、ものづくりのまちとして魅力を感じました。
創業から変わらない想いと、いま追い求める「良さ」のカタチ
SOUKIのサイトを開くとこのようなメッセージが書かれています。
ものづくりへの揺るがない想いがある一方で、90年以上続く歴史の中で"良さ"の価値観は時代とともに変わってきたのではないかと思いました。
ネルソンさんによると、SOUKI4代目が代表になった2015年に「Re Loop」をブランドとして立ち上げたことも、今考える"良さ"が関わっていました。
リサイクルコットンを取り入れた靴下づくりでもわかるように、ここ数年はサスティナビリティ( 環境・社会・経済の観点から持続可能な社会にしていくという考え方 )を軸の一つにしてきたそうです。
ほかにも次のような考えを持ってものづくりと向き合っていました。
70~80年代から使われてきた編み機を手入れしながら長く使う
より多くの人に広陵町が"靴下のまち"であると知ってもらい、地域の産業を守る
横の繋がりを大切にし、エコな素材などの情報を常に取り入れる
丈夫な靴下をつくりユーザーに長く使ってもらう。また、修繕をしながら使うなど愛着を持ってもらえる靴下をつくる
いまも現役で使われている編み機は、歴史資料館にあってもおかしくないような希少なものだそう。機械とともに、ほかにはない技術とものづくりの精神も受け継がれていたのです。
日本でつくられた靴下を選ぶ意味
先に引用した文章をもう一度見てみます。
ネルソンさんは「夏にはリネンの靴下もおすすめ。綿のものは履き替え用も持ち歩いて使っていただくと丸一日清々しく過ごしてもらえます」と教えてくれました。
日本には四季があります。そして、住居などでは靴を脱ぐ文化があります。そういった日本の日常をよく理解し、季節にあった素材、編み方などを考えてつくられているのがSOUKIの靴下です。
実際にSOUKIの靴下で過ごしてみて、こんなに快適なら日本でつくられた靴下をもっと使いたいと思うようになりました。
毎日のように履くものだから、長く大切に使いたいと思えるものを選びたいです。
みなさんはこれから、靴下を買うとき何を基準に選びたいですか。
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