「殺人小説の書き方」 第十三話
桐生北斗と早いうちに知り合ったのは、結果的に助かった。大学での私は自由だったけれど、同時に無防備だった。自分の身の守り方もよく知らなかった。私は可愛くなった。可愛い、と言っておけばいいと思われていた時期とは異なり、本当に可愛くなった。だが本心から可愛い、と思われるのも問題がないわけじゃない。というか、可愛い、という言葉には、本質的に相手を軽んじているところがある。掌にのっけて、評価する。そういう部分がある。
大学生になった頃、ミステリ関係のイベントに顔を出した。大きくなっ