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俺のブツリ

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2022年のノーベル物理学賞でも話題となった量子物理。量子コンピュータなどの量子情報理論の発展等でますますその重要性を増しています。量子論を中心に物理の基礎を分かりやすく伝えます。
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2022年12月の記事一覧

量子で超正確な時間を刻む

かつて、ファインマンは「もっと短い"時間"というものは存在するのだろうか?」と問いました。…

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クォークも重ねあわさる

1970年頃に知られていた素粒子は、電子$${e}$$、ミューオン$${\mu}$$、ニュートリノ$${\nu}$$…

ニュートリノはどこから来るのか

ニュートリノの存在を予言したのは、物理学者のエンリコ・フェルミですが、現在では、さまざま…

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透明マントを作る

近年、光の波長よりも細かな素子を集積化して物質の光学特性を変える「メタマテリアル」が注目…

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ニュートリノ振動も量子状態の重ね合わせ

ニュートリノ振動を量子状態の重ね合わせの観点から考えてみましょう。 地球に飛来してくる宇…

量子の重ね合わせ

「私は二つの窓の両方を一緒に通って室内に入ったのです」 これは、朝永振一郎のエッセイ『光…

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量子コンピュータで探る量子重力

量子もつれは、不気味な(spooky)遠隔作用とアインシュタインに言わしめた現象だ。量子もつれは、多粒子系がもつ特別な性質で、ひとつの粒子の測定が別の粒子の状態に影響を及ぼす。2つの量子系が十分な距離を持って離れていても相関がなくならない。系の一部分と見なせるものの測定でも、系全体を測定していると考えなければならない(『現代の量子力学』J.J.サクライ)。近年、ノーベル賞受賞のレオナルド・サスキンドは、量子もつれの関係にある粒子対はワームホールでつながっているという仮説を提案

量子のトルネードが半導体産業を復活させる

渦巻き状の小さな磁石がある。スキルミオンと呼ばれており、数ナノサイズの渦状構造の磁気モー…

波と粒子の二重性

「そうおっしゃっても私は二つの窓の両方を一緒に通って部屋に入ったのです」 これは、朝永振…

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ハイゼンベルグの不確定性関係

量子の位置と運動量は同時に正確には決めらないというのがハイゼンベルグが提唱した「不確定性…

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アインシュタインのディスり

量子は複数あると量子もつれという不思議な現象を起こします。2つの電子を考えます。電子はス…

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ド・ブロイの物質波

フランスの物理学者ルイ・ド・ブロイは、アインシュタインが見出した光量子からヒントを得まし…

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シュレーディンガーの波動力学

電子が波の性質をもつなら、その変化はどのように記述できるのでしょうか。量子の波としてのふ…

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ベルの不等式

2粒子のスピンの相関に上限があることを示すのが「ベルの不等式」です。この不等式を実験的に確かめられると、量子力学の不完全性を示すことができます。 2つの電子について考えてみましょう。互いにスピンが逆向きのとき、量子もつれの状態になります。スピンが右向きの状態を $${|+x>}$$ 、左向きの状態を$${ |-x>}$$で表します。2つの電子について、片方が右向きの状態 $${|+x>}$$、もう一方が左向きの状態 $${|-x>}$$ と、片方が左向きの状態 $${|-x