見出し画像

ボジョレー・ヌーボー2023年のテイスティングコメント

はじめに


今年もボジョレー・ヌーボーがいよいよ解禁。毎年必ず話題になるこちらのワインについては、いろいろな見方があると思います。

今回はこのボジョレー・ヌーボーについて、詳しく掘り下げながら、私なりの楽しみ方をお伝えしたいと思います。


その始まり


昔からワイン造りが盛んであったフランスのこの地方の秋の収穫祭で、ボジョレー地区のワインが捧げられたのがはじまりと言われます。

ボジョレー・ヌーボーの解禁日は、毎年 11 月の第 3 木曜日ですが、当初は 11 月 11 日が解禁日だったということ。この地区で最も収穫の早いワインが出来あがる時期であり、さらにこの日が「サン・マルタン」という聖人の日であっ たため、縁起も良いからという理由でした。

ところがその後、11 月 11 日はサン・マルタンの日から変更され、『休戦記念日』となったのです。その日からいちばん近い縁起の良い聖人の日を探した結果、11月15日の「聖タルベールの日」があり、この日を解禁日にする案が有力となりました。

しかし、「解禁日を固定してしまうと、年によっては土日に重なり、運送業者が休みだったり、売れ行きにも影響がある」という意見が多数出たために、フランス政府が 1984年に解決策を考案。1985年に「11月の第3木曜日」という、毎年変動する解禁日に設定され、今に至っているということです。


ボジョレー・ヌーボーの造り方


ボジョレー・ヌーボーの多くは、「マセラシオン・カルボニック」という醸造方法で造られます。

通常は収穫したぶどうを破砕してから発酵させますが、マセラシオン・カルボニック法では、破砕せずに大きなステンレスタンクに入れます。タンクの下の方のブドウは重さでつぶれ、果汁が流れ出て自然に発酵が始まります。

発酵が始まると炭酸ガスが生成されますから、次第にタンク全体が炭酸ガスで充満。その中ではつぶれていないブドウの細胞内部で酵素の働きによって、アルコール、アミノ酸、コハク酸などが生成され、ブドウの皮からも成分が浸出。

こうしてできたワインは タンニンが少ないわりには色が濃く、渋みや苦味が通常のワインより少なくなり、フレッシュに仕上がるのです。


ここから先は

3,025字 / 3画像

¥ 200

最後までご覧いただき、心より感謝いたします🥂