マガジンのカバー画像

□第二言語教育の「常識」 — 基礎日本語教育を考える

11
2021年7月〜  日本語教育で流布している「常識」に反論し、むしろ良識的に合理的で論理的に考えると日本語の教育企画やこのようになるはず、ということを論じます。あわせて、後半では… もっと読む
運営しているクリエイター

#発音指導

「第二言語教育の「常識」 — 基礎日本語教育を考える」の概略

 ご存じのようにわたしは表現活動の日本語教育を提唱しており、それは、考究された言語観、言語習得観、第二言語習得の原理などに支えられていると思っています。表現活動の日本語教育はそのような理論にしっかりと支えられているわけですが、もう一つそれを支えている土台があります。それは、実は、常識です。どういうことかというと、「これまでの日本語教育は常識的で穏当な合理的な考え方や判断の下に行われていなかったのではないか」、「業界でのみ、あるいは業界の中の人たちの間でのみ通用する常識で教育を

第二言語教育の「常識」 ─ 基礎日本語教育を考える(4)

 前回は、言語活動従事という見方を提示し、それに関連して、言語技能ではなく、言語活動に従事する言語技量という形で発達していく日本語の能力を捉えることを提案しました。そして、日本語の上達を支援するというのは、言語知識の拡充と言語技量の増強を同じ並行的に行う状況を設定して、その中での具体的な支援と促進の行為を行うことだと述べました。そして、表現活動中心の教育でこそそうした日本語上達支援を有効に展開できると主張しました。  今回と次回は、少し「一休み」のような感じで、音声の指導と書