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□第二言語教育の「常識」 — 基礎日本語教育を考える

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2021年7月〜  日本語教育で流布している「常識」に反論し、むしろ良識的に合理的で論理的に考えると日本語の教育企画やこのようになるはず、ということを論じます。あわせて、後半では…
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2021年9月の記事一覧

「第二言語教育の「常識」 — 基礎日本語教育を考える」の概略

 ご存じのようにわたしは表現活動の日本語教育を提唱しており、それは、考究された言語観、言語習得観、第二言語習得の原理などに支えられていると思っています。表現活動の日本語教育はそのような理論にしっかりと支えられているわけですが、もう一つそれを支えている土台があります。それは、実は、常識です。どういうことかというと、「これまでの日本語教育は常識的で穏当な合理的な考え方や判断の下に行われていなかったのではないか」、「業界でのみ、あるいは業界の中の人たちの間でのみ通用する常識で教育を

第二言語教育の「常識」 ─ 基礎日本語教育を考える(2)

 今回の目次は以下の通りです。 1.教育企画とインストラクショナル・デザイン 1-1 インストラクショナル・デザインとは何か 1-2 教育企画とインストラクショナル・デザインで重要なこと 1-3 プロフェッショナルの仕事 1-1 インストラクショナル・デザインとは何か  一人の人が何かのプロジェクトをしようとする場合には、その展望も青写真も計画もその人の中にあって具体的な状況に適宜に対応して軌道修正しながらそれを進めてもよい。しかし、そうした場合でも、そのプロジェクトが繰り

第二言語教育の「常識」 ─ 基礎日本語教育を考える(1)

 前回掲載した目次の連続エッセイの前口上として、「はじめに」として、「なぜ、『日本語教師』は文型・文法事項の指導に固執するのか」というテーマで書きます。まず、固執の背景と思われる事項を箇条書きにします。 1.学習課題を「学」的に捉えている感じ  教育の企画と実践の構想において、主要な学習課題を捉えることは重要です。「基礎段階の主要な学習課題は文型・文法事項であり、その事項はこのリストで、基本的な学習順序はこのような順である」というふうに捉えて、宣言すると、それは(日本語)学