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○日本語教育・日本語教育学評論

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日本語教育と日本語教育学などで折々に感じたことを発信しています。
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2022年5月の記事一覧

Can-doを考える

 磯村一弘さんがTwitterで、Can-doをめぐって、「数学も実生活に結びついたCan-doを立てて、それを達成するために必要な要素として学習項目を立てればいい。例えば『金融経済の予測ができる』、『測量して地図を描くことができる』、『ミサイルの軌道計算ができる』などの到達目標を立てる。そのためには、三角関数が必要。だから三角関数を学ぶ』というような発信をされました。以下、それへの返信及びその後のぼくの考えをまとめたものです。 1.Can-doをめぐって  この発信全体

日本語の習得と習得支援について言葉を尽くして語ること

 『新次元の日本語教育の理論と企画と実践』(くろしお出版)のプロローグの中程(p.8)で以下のようなことを書きました。  本書にはもう一つの目的があります。それは、言語の習得と習得支援について語る言葉や話し方を精緻化して提案することです。<中略>日本語教育学の分野では言語の習得と習得支援について語る言葉や話し方がひじょうに脆弱で稚拙です。ですから、いろいろなテーマについて精密で実のある議論が日本語教育者の間で十分にできませんでした。そのような語る言葉や話し方を提案することも