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『神戸とYMCA100年』を読む #00「青年にあたたかい握手を」- 私たちの原点

神戸YMCA、神戸キリスト教青年会は1886年(明治19年)に設立された。

緒 言
 村松吉太郎は貿易商であったが、輸入は取り扱わず、岡山の花むしろなどを主として輸出していた。
 ある日、ニューヨークのリバーサイド教会の入り口で立派な紳士に肩をたたかれた。「もし、ニューヨークで友達がいないなら、ここをたずねてごらんなさい」。紳士が紹介してくれたところこそYMCAであった。

時は明治。
一人の実業家の物語だ。

村松はのちに、神戸YMCA初代理事長になる。

 親切な主事たちに迎えられた村松は帰朝(日本に帰ってくる)するや否や、YMCAを神戸に立てるために奔走した。

神戸YMCAはこうして始まる。
必要だと思ったことを、必要だと感じた人が、ある信念のもとに形にしていく。自然と人が集まり、「会」となっていく。

 会館を与えられた後も、自分の読了した書物を運んできては青年たちに読書を勧めたり、一緒に将棋を指したりして慕われたが、「青年にあたたかい握手を」という、その後も続いた神戸YMCAの職員のモットーは、彼の若い日の経験によるものである。

当時の青年たちにとって、村松の書物は新しい考え方や知恵を授けてくれる、貴重な「情報源」だったであろう。
そして「一緒に将棋を指す」ように親身で、親でも教師でもない存在が近くにいてくれるという安心感と面白さが、青年を惹きつけたのである。

「青年にあたたかい握手を」

私はこのストーリーがとても好きで、スタッフになって間も無いころ、
この本に初めて触れた時のことをよく覚えている。

そしてそれは、私の理想となった。

神戸YMCAの創立100周年(1986年)を記念して執筆された、

『神戸とYMCA100年』

には、今だからこそ意味のある言葉がたくさん散りばめられている。

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このシリーズでは、この本についての私なりの解釈を加えて、
特に若い人たちに読んで欲しいと思って、解説していきたいと思う。

日本にYMCAが初めて伝わった明治。
ちょうど、日本が近代国家へと変貌を遂げようとする試みが、
スタートした時期である。

それは、結果として戦争に向かっていく道でもあるのだが、
この歴史書を紐解きながら、
現代の私たちが、何にどう向かうべきなのか、
特に戦後の歩みと照らし合わせて考察したい。

今を、そしてこれからを担う若者たちに、
このことが伝わるといい。

『神戸とYMCA100年』を読み解きながら、私たちが歩むべき道についての、
示唆を得たいと思う。


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