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「送還忌避者」年内の推移について「業務上統計を作成していない」は嘘だと暴かれた

2023年5月11日の参議院法務委員会で、共産党の仁比聡平議員が、以下のような質疑をされました(以下、仁比議員のウェブサイトより引用)。

仁比氏は、2021年末時点の「送還忌避者」の累計3224人に触れ、同年中の新たな「送還忌避者」数と、送還や難民認定、人道配慮などで「送還忌避者」ではなくなった人数、さらに難民申請中は本国への送還が停止される「送還停止効」の乱用・悪用だと入管庁がみなした件数をただしました。
 「業務上統計を作成していない」と繰り返す西山卓爾入管庁次長に仁比氏は「結局、入管が疑っているというだけだ」と強調。

ですが、2023年5月18日の参議院法務委員会の仁比議員による質疑で、その嘘が暴かれました。

2018年8月14日付「送還忌避者のための重要業績評価指標の作成について(通知)」

入管は、2018年8月14日付で「送還忌避者のための重要業績評価指標の作成について(通知)」を発出しています。

この通知、上記のnoteにはPDFを保存してありますが、ここでは全ページを貼り付けます。

黒塗りになっていて、正確にはわからないのですが、3枚目を見ると月末現在の送還忌避者数を入力し、その後、6個か7個の項目に分けて月内の推移を入力するのではないかと思われます。

2年前 「送還忌避者」の縮減は「喫緊の課題」という通知


これに先立つ2016年4月7日、法務省入管は局長名で「安全・安心な社会の実現のための取組について(通知)」という内部通知を出していました。


ここでは、送還忌避者などが「我が国社会に不安を与える外国人を大幅に縮減すること」が、「喫緊の課題」とされています。

冒頭で紹介した重要業績評価指標の作成を求める通知は、この「安全・安心」通知を受けてのものです。

「送還忌避者」は単なる数の寄せ集めではない!

ですが、「送還忌避者」は、帰るに帰れない事情を持っている人が沢山います。難民申請者はその典型ですが、日本人の配偶者がいる人、日本で生まれた子どもとその家族、幼少時に家族に連れられて日本に来て罪を犯してしまった人などです。
それぞれが抱える帰れない事情を一切捨象し、「縮減目標」という数値を掲げ、

「その目標値に向かって業務遂行する。目標値が達成できない場合については、その原因を分析の上、目標値が達成できるように業務の見直し等を行い、最終的に全国の送還忌避者を縮減することを目的とする。」


としています。打ち込みながら、反吐が出そうです。

入管が外国人を人間扱いしていないというのは、事あるごとに言われることですが、「送還忌避者」の抱える事情は考慮せず、単なる縮減対象の数値の構成要素としてしか考えていないこの通知にもその思想が顕著に表れていると思います。


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