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全件収容主義を否定する1955年外務省見解


李英美さんの李英美「出入国管理の社会史」という本を読んでいたら、非常に重要な情報に接しました。

https://www.akashi.co.jp/book/b625458.html

130頁に、1955年の日本側(外務省第三課条約局)の見解として、52条5項の「収容することができる」という文言は、「収容をも任意的に規定している」としていたそうです。


全件収容主義を争った訴訟などでは、39条や52条で「収容することができる」としているのだから、日本語を素直に読めば収容しないこともできる、だから全件収容主義の解釈は誤りだと私たちは主張していました。

これに対して、こちら側の主張に対して、国は「できる。」というのは入国警備官に収容する権限を付与したもので、収容するかどうかを任意に判断することができる趣旨ではない、全件収容するのが原則だなどと主張していました(収容令書の39条に関するものですが、以下のアフガン難民の収容令書執行停止申立事件国側意見書や、そこで引用されている坂中・齋藤「出入国管理及び難民認定法逐条解説 改訂第4版」638頁)。

しかし、1955年の段階では、任意規定だという解釈を外務省が取っていたのです。いつもながらの二枚舌に呆れます。

原文資料は脚注に書いてありました(すみません、その部分のスキャンを忘れました。)。こんど国会図書館で閲覧・謄写してきます。

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