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脈が取れなくても詐病を疑う入管風土

2010年3月に、強制送還手続中、航空機内で制圧されて死亡したガーナ人男性の事件がありました。
この事件の証拠保全手続で、送還・制圧に関与した入国警備官らの聞き取り書きを入手できたのですが、その中に信じられない一節がありました。

脈がなくても詐病?


ある入国警備官が、他の警備官が「脈が感じられません。」と言ってガーナ人男性の体に触れながら、「本職はまだ本人が演技をしているのではないだろうかとの疑いが拭いきれませんでした。」と述べているのです。

証拠保全手続で入手し、その後国賠訴訟で証拠調べされた入管職員の陳述書の一部

演技で脈を止められるというのでしょうか?

詐病を疑うのは入管職員の習性


2023年4月21日、衆議院法務委員会に参考人として出席した元東京入管局長の福山宏氏は、以下の意見を述べていました。

収容状態を脱したいと望むのは人の常です。仮放免許可の典型例が健康上の理由であることから、収容施設においては、全快、異常なしという診断
は歓迎されません。仮放免許可にとって不利に解釈されやすいからです。
ですから、被収容者は、次々と様々な自覚症状を訴え、診察希望を繰り返します。

つまり、入管当局は被収容者が痛みを訴えても、仮放免を認めてほしいがための詐病と疑う習性が身についているのでしょうね。
だからこそ、脈が取れない人についてまで、詐病と疑ったのでしょう。

ウィシュマさんもこの入管職員の修正、いわば詐病を疑う風土の犠牲になったのです。そのことはビデオを見れば明らかでしょうに。

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