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入管収容施設を視察する入国者収容所等視察委員会の「視察の手引き」は、視察される出入国在留管理庁が作っていました

入国者収容所等視察委員会は、2009年法改正で設立されたもので、「入国者収容所等の適正な運営に資するため、法務省令で定める担当区域内にある入国者収容所等を視察し、その運営に関し、入国者収容所長等に対して意見を述べるものとする。」(入管法55条の10第2項)組織です。

その活動内容は、出入国在留管理庁のサイトで報告されていますが、かなり細かな運用変更に留まります。2022〜2023年の活動はこちら。

例えば、牛久の入管に運動器具の充実を要望したところ、ぶら下がり健康器が設置されたとか(表の3)。

この視察委員、どんな人がなるかというと、やはり出入国在留管理庁が作成している入国者収容所等視察委員会運用要領では、こう書かれています

「委員は入国者収容所等又は出国待機施設について専門的知識や経験を有する必要はない」としている時点で、おいおい、と言いたくなります。素人でも良いと。

そして、入管相手に訴訟をしている代理人(弁護士)は中立性に疑義があるとされているので、私などはなれないのです。

そして、視察委員が、専門的知識や経験を有する必要がないとされている結果、どのように視察したら良いかわからないので、視察される側の入管が「手引き」を作成しています。

これでは、実効性を求めるのも無理からぬところであります。

ちなみに、東京弁護士会では2016年に、視察される側が作った生ぬるい手引きではダメだ、英国の視察委員会が視察の際に準拠している極めて詳細な視察要領(エクスペクテイションズ)を参考にして作成した日本版エクスペクテイションズに則って視察して欲しいとの要請書を提出していますが、上記2024年6月作成の「手引き」には全く反映されていないようです。


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