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旅06-陸路国境地帯を歩く

クラクフから南の国境近くにザコパネ(ザコパン)という町がある。ここは国土がほとんど平地のポーランドの中で指折りの山岳地で、カルパチア山脈のタトラ山地の麓にある町。クルムロフで旅人から勧められたこともあり訪れたのだが、ここからスロバキアに直接入ることにした。

ザコパネは美しいところだ。山々が目前で、雪化粧している。屋台で売っていたチーズは恐ろしく塩っ辛かったが、食べ物はうまい。ただ、すぐスロバキアなのにここからの国境越えはマイナールート。バスで国境まで行き、歩いて越え、スロバキアのバスに乗れとのこと。EU国境越えで徒歩は結構マレかも。しかし、一日2本しかないバスが運休。なんとかミニバスを探し国境へ。しかし、国境では両替できない。スロバキア側は何もなく、ポーランド側はユーロからスロバキア・コルナへの両替不可。何度か国境の川を越えて行ったり来たり。自由に行き来できる反面、普通に国境を超えるときにできる両替ができない。これは想像外だった。

馬で移動していた兄ちゃんから「2km先に町がある」というから歩いたがその気配すらない。ヒッチハイクしようとしたが止まってくれずに歩く。20kgの荷物は重く、汗だくに。目的地が見えない・わからないまま。どうなるんだろう。野宿か。
引き返したほうが良いのかと迷いつつ不安になりつつ1時間くらい歩いただろうか。バス停で一区間、約2kmのところにリゾートホテルがあった。兄ちゃんの言葉は間違っていなかった。やはり町まではもう8kmあるそうだ。歩き続けなくてよかった。
ここのホテルの人は優しかった。両替し、コーヒーを飲み、バスの時間まで休ませてもらった。国境までのバスはなくとも、リゾートホテルまでのバスは運航していた。ラッキーだった。ホテルのソファーで当時この文章を書いている。疲労していたからだろうか、それとも文才のせいだろうか、文章もどことなく力が抜けている。外には雪化粧をした山がそびえ、ゆっくりと雲が流れている。バスルートもわかったので、なんとか今日中に次の町に着けそうだ。

目的地のレヴォチャに着いたのは夕暮れ前。インフォメーションは締まっている。宿がなかなか見つからない。坂の町を約1時間歩き、人に聞き回った。街の地図がないから教えてもらった場所にもなかなかつけない。英語しゃべれる人になかなか会わないし、そういう人は安宿を知らない。たどり着いてもさっき見たところだったり、誰もいなかったり満室だったり。
やっと見つかった。プライベートルーム。一泊300SK(約1500円)。
この旅、過去最安値。大勝利の気分。この気持ち、旅人はわかるよね。特に長旅を始めた僕はどれだけ安く済ませるか・済ませたかに喜びを感じていた。
スロバキアの黒ビールはうまく、シャワーが心地よいのでした。もちろん、ピルスナー・ウルクエルは最高だ。

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