マディソン郡の橋
たった4日間の恋に生きた女性の物語。
単なる不倫を題材とした映画として毛嫌いする方もいるが、葛藤に悩みながら選択、決断する時の心のひだを映し出した映画。
この映画で主役を演じたメリル・ストリープ。最初は野暮ったい田舎の女性が徐々に磨かれきれいになって行く様はさすがの演技力でした。
アメリカのアイダホ州の農場に嫁いだイタリア生まれのフランチェスカ。その彼女が亡くなった時、息子と娘宛の手紙と日記が残されていた。手紙には、遺灰をマディソン郡の橋に撒いてくれるようにという彼女の遺志が書かれていた。
母の遺品を整理すると父親とは別の男性の存在が出てくる。息子は母を拐かしたと怒りだすが、夫と別居中の娘は母の日記を読むことを提案する。母が残した手紙には日記を読むことできっと理解してもらえると書かれていた。
二人は日記を読み進める。日記は、まだ兄妹が10代半ば頃、母を留守番として、父と3人で子牛の品評会に数日出掛けた時から始まる。
そんな日に、世界を駆け回るカメラマンが道を尋ねて来た。屋根のある珍しい橋を撮りたくて探しているという。田舎のだだっ広い畑や牧場ばかりのところで、橋の場所を説明しても要領得ない。そこで仕方なくカメラマンの車に乗って道案内することになる。
世界を飛び回るカメラマンの体験談や彼女自身の秘めていた広い世界への憧れを、語り合うことで心の距離が縮まっていき、ほどなく二人は惹かれ合い、4日間の恋に落ちていく。
しかし、夫たちはもうすぐ戻って来る。カメラマンは一緒に来てほしいと伝えるが、彼女は悩みながらも思いとどまる。多感な時期の子ども達と誠実な夫を傷つけてカメラマンのもとに行ったとしても、後悔しか残らないと。
平凡な日常が戻ってきた数日後、強い雨が降る日、夫が運転する車でスーパーマーケットに行く。そこで雨に打たれながら佇むカメラマンが助手席の彼女を見ていた。
二人の車が信号につかまった時、カメラマンの車が前に割って入りハザードランプをつけた。信号が青になったが、発車しない。夫はクラクションをならす。彼女は車のドアに手をかけるが、グッと思いとどまる。
やがてカメラマンの車は動き出し、交差点でウインカーを出し去って行った。彼女はその瞬間号泣し、夫は何事かと驚く。
それから十数年後、夫は、亡くなる前看病する彼女に、感謝を伝える。「フランチェスカ、君はほんとは夢があったと思う。私はそれを成し遂げてあげらず、すまなかった。でも、私はとても幸せな一生だった。」と。
それからまた数年経ってカメラマンの弁護士から、カメラマンの遺言と言うことで、遺品が送られて来た。その中に、マディソン郡の橋の写真集が残されていた。
日記を読み終えた二人。息子は母の遺志どおり遺灰を橋から撒く。娘は離婚し新しい人生を歩むことを決意した。
監督 クリント・イーストウッド
出演 クリント・イーストウッド
メリル・ストリープ
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