<答え>2022年度 特別区(福祉)専門記述 過去問解答例
福祉職の専門記述は、過去問からの出題がほとんどです。
2022年度の過去問リメイク率は、38.8%でした。
〜皆さまへお願い〜
こちらは、一解答例となります。正答が公式に発表されていない以上、「記述式」という問題の特性から、特別区人事委員会側の期待する解答とは異なる場合がございます。そのことをご了承の上、受験対策の一助としていただけましたら幸いです。
番号1 社会学概論
◇解答例
(1)
英語:Sustainable Development Goals
日本語訳:持続可能な開発目標
(2)
採択年:2015年
採択機関:国際連合
採択文書名:「持続可能な開発のための2030アジェンダ」
達成年限:2030年
(3)
SDGsは、「誰一人取り残さない(leave no one behind)」を基本理念としており、17のゴール・169のターゲットから構成されている。
ひとこと:まさかのSDGs。過去問と照らし合わせると異色です。。
◇参考
◎「SDGsとは?」、外務省HP、(2023年2月9日最終閲覧)
番号2 社会福祉論①
◇解答例
(1)
認知症とは、認知症は、脳の病気や障害など様々な原因により、認知機能が低下し、日常生活全般に支障が出てくる状態のことを指す。加齢による物忘れとは異なり、認知症の物忘れは、体験そのもの(エピソード記憶)を忘れることを特徴としている。
認知症を引き起こす主な疾患:アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭型認知症
(2)
認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)の対象期間は、2025年までとされ、「認知症は皆にとって身近な病気であることを、普及・啓発等を通じて 改めて社会全体として確認していくこと」(or「認知症への理解を深めるための普及・啓発の推進」)を基本的な考え方としている。(or「認知症高齢者等にやさしい地域づくり」の推進を目指している。)
◇参考
(1)『人体の構造と機能及び疾病 第3版』、中央法規、p.157
(2)平成 29(2017)年 7 月改訂版「認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)~認知症高齢者等にやさしい地域づくりに向けて~ (概要)」、厚生労働省、(2022年8月13日最終閲覧)
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/kaitei_orangeplan_gaiyou.pdf
番号3 社会福祉論②
◇解答例
(1)
条名:25条
第1項:すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
(2)
4つの基本原理:
国家責任の原理・無差別平等の原理・最低生活の原理・保護の補足性の原理
(3)
8つの扶助:
生活扶助・教育扶助・住宅扶助・医療扶助・介護扶助・出産扶助・生業扶助・葬祭扶助
◇過去問分析
「生活保護法」★★★★★
→2010(平成22)年度と2014(平成26)年度にも出題あり。頻出項目です。
ひとこと:(1)だけは何としてでも正解したいです。最低限度の生活=ニコニコ25条と覚えてください。
番号4 社会心理学
◇解答例
(1)
傍観者効果とは、ある緊急事態に遭遇した際に、自分以外の人々(傍観者)がいる時に、援助行動を起こしにくくなることをいう。傍観者の数が多いほど、その効果は高いとされている。
傍観者効果を引き起こす要因:多元的無知・責任の分散・評価懸念
(2)
人スキーマ・自己スキーマ・役割スキーマ・スクリプトスキーマ
(3)
ステレオタイプとは、「紋切り型」ともいわれ、社会における特定のメンバーに対する、過度に単純化、画一化された概念のことである。
プライミング効果とは、先に持っている情報が、無意識のうちに、後の行動に促進又は抑制をかけることをいう。
◇過去問分析
(1)「傍観者効果」★★★★☆
→2008(平成20)年度、2016(平成28)年度にも出題あり。
(2)「社会的スキーマ」★★☆☆☆
→2012(平成24)年度に同様の出題あり。
ひとこと:単語を列挙する問題は、新しい傾向です。
◇参考資料
◎山岸俊男、『徹底図解 社会心理学』、新星出版社
(1)傍観者効果:pp.20~23、(3)ステレオタイプ:p.106
番号5 児童心理学
◇解答例
(1)
レヴィンが分類した葛藤には3種類ある。1つ目が「接近・接近型」であり、好ましい二つのものの二者択一があることである。2つ目は「接近・回避型」であり、好ましいものと好ましくないものの両面があることである。そして3つ目が「回避・回避型」であり、二つの好ましくないものの二者択一があることである。
(2)
神経症的傾向・外向性・開放性・協調性・誠実性(統制性)
(3)
内田クレペリン検査とは、作業検査法の1つで、連続した単純な精神作業を行うものである。この検査により、人格(性格)のアセスメントを行う。
◇過去問分析
(1)「レヴィンの葛藤」★★☆☆☆
→直近2019(令和元)年度に、「社会心理学」の分野で、全く同様の出題がありました。HP上で公開されていた直近3年以内の過去問からの出題でした。
ひとこと:実は解答用紙のサイズ的に、そんなに長く記述する必要はなかったです。。
◇参考
(1)◎「アプローチ倫理資料 PLUS 2020」、2020年、東京法令出版、p.17
(2)◎『心理学と心理的支援』、2021年、中央法規、p.85、(3)同、p.161
番号6 ケースワーク
◇解答例
(1)
受容の原則とは、クライエントをあるがままに受けとめる態度のことである。クライエントは「ありのままの自分を価値のある人間として受け止めてほしい」というニードを持っている。そのため、ケースワーカーとして、クライエントの肯定的感情と否定的感情を、どちらもありのままの姿で認知し、クライエントを全体として受け入れる姿勢をとることが大切である。
(2)
非審判的態度の原則とは、クライエントを一方的に避難しない態度のことである。クライエントは「一方的に避難されたくない」というニードを持っている。そのため、ケースワーカーとして、自分の役割りが「援助」であることを自覚し、クライエントを善悪で判断しない姿勢をとることが大切である。
(3)
自己決定の原則とは、クライエントの自己決定を促して尊重する態度のことである。クライエントは「自分の問題の解決方法は自分で選んで決めたい」というニードを持っている。そのため、ケースワーカーはクライエントが自己決定できるよう適切な社会資源や情報の提供等の援助をしていくが、最終的に決定をするのはクライエントであることを忘れてはならない。また、クライエント自身が潜在的な自己決定能力を自ら活性化できるよう刺激していくことも重要である。
◇過去問分析
バイステックの出題は、なんと7回目!!
◇参考
◎酒井久美子、2018年、「ソーシャルワークの援助関係における相互作用 ―傾聴と対話の大切さ―」『京都ノートルダム女子大学研究紀要』48号、pp.59-71(p.61の表1)
今回は以上です。
お疲れさまでした(^^)!
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