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医師国家試験対策【難問】【卵巣がんの発生】

婦人科領域の国家試験問題は数は少ないですが、2極化しており、簡単な問題と極端に難しい問題に分けられるようになりました。

そこで、そろそろ出そうな難問を考えてみましたので、解説と共にどうぞ。
※注意:下にスクロールすると答えが出てきます。


上皮性卵巣がんの発生に関与する臓器はどれか。
a. 子宮筋層
b. 莢膜細胞
c. 顆粒膜細胞
d. 受精卵
e. 卵管上皮




解説

上皮性卵巣がんの発生に関与する臓器は、e. 卵管上皮です。

解説:
上皮性卵巣がんは、卵巣がんの中で最も一般的なタイプで、その多くが卵巣の表面にある上皮細胞から発生します。
最近の研究では、多くの上皮性卵巣がんは実際には卵巣ではなく、隣接する卵管の上皮細胞から始まると考えられています。
この理論は、卵管上皮仮説と呼ばれ、卵管の上皮内に発見される前癌状態である「卵管上皮内癌」(STIC:Serous Tubal Intraepithelial Carcinoma)の存在によって支持されています。

STICについて:
STICは、卵管の内膜に存在する前癌性の異常で、高悪性度の浸潤性卵巣がん(特に漿液性がん)と関連があると考えられています。
これらの細胞の変化は、がんへの進行の重要な初期段階である可能性があります。
STIC細胞は通常、卵管の腹側(外側)に位置しており、その形態学的および分子生物学的特徴は、漿液性卵巣がんと類似しています。
したがって、STICは上皮性卵巣がんの早期発見と予防のための重要な標的となっています。

a. 子宮筋層
子宮筋層は子宮の中間層で、筋肉組織から成っています。
子宮筋腫などの良性腫瘍や子宮内膜がんなどの悪性腫瘍が発生することがありますが、これらは卵巣がんとは直接関連していません。

b. 莢膜細胞
莢膜細胞は、主に卵巣の卵胞に関連する細胞です。
これらの細胞は卵胞ホルモンの産生に関与していますが、上皮性卵巣がんの発生には直接関係していません。
卵巣がんは主に卵巣の上皮細胞から発生します。

c. 顆粒膜細胞
顆粒膜細胞は卵胞を構成する細胞の一種で、主にエストロゲンの産生に関与しています。
顆粒膜細胞腫という稀な腫瘍は存在しますが、これは通常良性であり、上皮性卵巣がんの発生とは直接関係がありません。

d. 受精卵
受精卵から発生する悪性腫瘍は絨毛がんです。
仮に選択肢が卵子だった場合、未分化胚細胞腫瘍や成熟嚢胞奇形腫の悪政転化として卵巣がんとなることがあります。
成熟嚢胞奇形腫の悪性転化は上皮生卵巣がんと分類し治療しますので、これで悩んだ方は勉強してます!

e. 卵管上皮
卵管上皮は、卵管の内側を覆う細胞層です。
最近の研究では、多くの上皮性卵巣がん、特に高悪性度の漿液性卵巣がんが、実際にはこの卵管上皮の細胞から発生すると考えられています。
卵管上皮内癌(STIC)という前癌状態が、卵巣がんへの進行の重要な初期段階であるとされています。



卵巣がんに関連する他の組織については、以下のようなものが考えられます

1. 卵巣上皮細胞
上皮性卵巣がんは、卵巣の表面を覆う上皮細胞から最も頻繁に発生します。
このタイプのがんは卵巣がんの中で最も一般的です。

2. 卵巣間質細胞
卵巣の支持組織である間質細胞からは、特定の種類の卵巣がんが生じることがあります。
これには、卵巣の性索間質腫瘍が含まれます。

3. 卵巣の生殖細胞
生殖細胞腫瘍は、卵巣の生殖細胞から発生します。
これらは通常、若年層で見られる卵巣がんの一種です。

4. 腹膜細胞
腹膜が卵巣の近くにあるため、腹膜の細胞から発生したがんが卵巣に広がることがあります。
これは第二次的な発生源ですが、卵巣がんとの関連があります。

5. 遺伝的要因
BRCA1やBRCA2のような遺伝子の変異は、卵巣がんのリスクを高めます。
これらの遺伝的要因は、卵巣がんの発生に間接的に関わることがあります。

注:画像はこの問題の解説画像を自動生成したものです。

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