117C37 【医師国家試験解説】産後出血


問:38歳の初産婦 (1妊0産)。妊娠39週3日に自然陣痛が発来し、3,550gの男児を経腟分娩した。妊娠経過に異常は指摘されていない。分娩第3期から性器出血を認め、 出血量は2,000mL (羊水込み) である。 脈拍96/分、整。血圧 110/70 mmHg。外診および内診で子宮底は柔らかく臍上で触知し、子宮出血は持続している。この時点での対応として適切なのはどれか。3つ選べ。
a 双手子宮圧迫法
b 用手的子宮整復
c オキシトシン投与
d 硫酸マグネシウム投与
e 子宮底輪状マッサージ


※スクロールすると解説と答えが出てきます。



解説:分娩後の対応の問題。正期産、やや大きめの子を経腟分娩後に血圧正常、脈拍やや早い産褥婦が分娩第3期から出血が多く、羊水込みの出血量が2000mL、子宮底が柔らかく臍上で触知する、という状態です。

この症例で異常なところはどこでしょう?

分娩後のバイタルサインには異常はありません。
正常な羊水量は500mL程度と考えられ、出血は1500mL程度です。単胎経腟分娩では800mL、
帝王切開では1500mL以上が異常出血と考えれるため、経腟分娩としては異常出血です。
分娩後の子宮底は臍下2-3指にあるはずで、子宮はやや大きく、柔らかいという記載も弛緩を示す異常所見です。
ちなみに産婦人科医としては胎盤娩出後なのかどうかの記載がないことが気になります。

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