ハク

いつも通りいつも通り。ぶつぶつ独り言を言いながら目玉焼きを焼いた。朝スイッチを入れておいたご飯の上にのせてお醤油をかけて食べた。

最近の私は早起きだ。8時をすぎた頃にはカーンカーンと工事の音で目が覚める。私の部屋のちょうど裏側で新築工事が始まって以来、工事の音を目覚ましに起きている。

朝起きてしばらくはまだ寝てたい。と布団の中で目を瞑っていた。工事の音でだんだん意識がはっきりしてくる。何時だろ?スマホを手にすると9時を回っていた。

諦めてリビングに向かう途中の窓際で、ハクが気持ちよさそうに日向ぼっこをしていた。私に気づくと足元に駆け寄り、撫でろと催促するように私の足をカリカリした。私はハクを撫でながら通り過ぎ、冷蔵庫を開け麦茶を飲んだ。炊飯器の中にご飯が残っていないことを確認し、お米を研ぎご飯のスイッチを入れた。

心臓が悪いハクの朝の分の薬を飲ませようと薬をお肉で巻き、ハクの名前を呼びながらハクの近くに行くと、さっき駆け寄って来た時の様子とは違い、ハァハァと息遣いが荒く、少し苦しそうに見えた。どうした?苦しいの?と声をかけながら薬を鼻元へ持っていく。臭いを嗅いで食べる素振りを見せたが食べれずに伏せの体制になり、息遣いが更に荒くなった。


ここから先は

2,360字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?