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旧東海道を通って横浜へ

所用で横浜の国際会議場、パシフィコ横浜へ行くことになりました。東京都内から横浜みなとみらいまでは、東急東横線を使えばすぐの距離ですが、せっかくなのでブロンプトンでツーリングがてら向かうことにしました。

都市部をツーリングする際に誰しも思うのが、「もっと自動車の交通量が少なければなあ」と、「もっと信号が少なければなあ」ということでしょう。また、主要な大通りを走るだけでは、その地方の名所旧跡にも触れづらいものです。

そんなこんなで、東京ー横浜間の移動を、単なる自転車移動で終わらせず楽しいツーリングにし、かつ、快適に走ってみようという目的で、今回は江戸時代の「東海道五十三次」で有名な、旧東海道に沿って走ってみることにしました。

東海道の旅ということで、起点はもちろん日本橋。日本橋三越の前から、日本国道路元標を臨みます。

江戸時代、東海道を通ってお伊勢参りに出かけた人々は、日本橋を明けの七つ(午前四時頃)に出発していたといいます。俗に言う「お江戸日本橋七つ立ち」ですが、私は完全に寝過ごして、明け七つどころか午前七時に日本橋に到着しました。トホホ。

日本橋から横浜までは29kmの表示。ブロンプトンの巡航速度なら、2時間あまりといったところでしょうか。
先ほどの「お伊勢参り」の例では、江戸時代の人々は、午前4時に日本橋を出発し、休憩も挟みながら午後6時頃まで、1日でおよそ40~50kmを歩いて宿に入っていたそうです。およそ45km先の戸塚で、1日目の宿をとる人が多かったとか。昔の人は健脚ですね。

昔の人が1日で歩いた距離の約3分の2を自転車で、楽勝だな!(フラグ) と思いつつ出発です。
日本橋を出て京橋を過ぎ、銀座の街並みに差し掛かります。カルティエ、ブルガリ、ヴィトンなどの高級ブランド店が立ち並ぶおしゃれな街ですが、午前7時すぎではほとんど人影もありません。

中央通りをさらに南下し、新橋へ。ビジネスマンの街として有名な新橋ですが、この日は日曜日なので、ここも人通りは少ないです。
しかし、信号機はいつもどおりのお仕事ぶりなので、自動車の交通量は少ないものの、ストップ&ゴーの多さには閉口します。のんびりいきましょう。

田町駅まで行くと、「江戸城無血開城の碑」が立っています。
幕末の(コアな)歴史ファンの方は、「あれ、薩摩藩邸って三田では?」と思う方がいるかもしれません。そうです、田町にあるのは薩摩藩邸蔵屋敷の跡です。
大政奉還の翌年、三田の薩摩藩邸は焼き討ちを受けていたので、その後の西郷隆盛と勝海舟の会見は、こちらの蔵屋敷で行われていたんですね。

旧幕府の責任者が、江戸城から離れた敵地の薩摩藩邸に乗り込んでいったこと、この距離感を現実に体験すると、勝海舟は大変だったろうなあと改めて思った次第です。

田町を過ぎると品川です。現在の国道15号線は、上の写真の右側に延びている道路ですが、本記事のタイトルどおり、今回は旧東海道(左側の道路)へ向かいます。

この黄色い道に沿っていくと旧東海道の品川宿に入ります。

現在の品川宿は商店街となっています。車もほとんど通らず、信号も少ないですが、ここは生活道路。のんびり走っていきましょう。

品川宿は妓楼の街としても有名でした。特に、時代小説などでもよく名前の出てくる、この「土蔵相模」は長州藩ごひいきの高級妓楼だったそうで、高杉晋作や伊藤博文なども利用していたそうです。
現在はこの石碑が残っているのみで、跡地はマンションになっています。

京急線に沿って閑静な旧東海道をのんびり走っていき、鈴ヶ森で再び国道15号線へ合流します。

羽田空港へのハブ駅として有名な京急蒲田駅までやってきました。かつてはこの駅の南側の踏切は「開かずの踏切」で、大規模な交通渋滞を引き起こしていたらしいですが、現在は駅と周辺線路の立体化工事が進み、スムーズに車が流れるように変わっています。

写真がブレていますが、多摩川にかかる六郷橋です。ここから神奈川県に入ります。
東海道には歴史ネタが多く詰まっていますが、ここ六郷もそのひとつ。「六郷の渡し」は東海道の名物のひとつで、多摩川はたびたび氾濫してこの橋を押し流したことから、江戸時代の間、ここには橋がかけられず、渡し舟による渡河営業が行われていました。
この渡し舟の営業による利益が川崎宿の人々にもたらされるようになって以降、橋がかけられていたころよりも川崎宿は繁栄するようになったそうです。
現代の過疎集落と高速道路などのインフラ整備にも通じる話ですね……少し強引かな。

多摩川を渡り終えて神奈川県に入ったら、再び旧街道へ寄り道。高架をくぐって川崎宿へ向かいます。

国道15号線から少し西側に入ったところが、旧東海道の川崎宿になります。現代のここら一帯は繁華街です。漫画『孤独のグルメ』で、主人公・ゴローちゃんが一人焼肉を敢行し、「うおォン、俺はまるで人間火力発電所だ」とのたまっていたのもこの辺りですね。

旧街道は道幅が狭いので、のんびりのんびり行きましょう。大通りのようにトップスピードで走り続けることはできませんが、信号にも自動車にもあまり邪魔されず、マイペースで走り続けることができるのは、まさにブロンプトンにもってこいの道だと言えます。
京急八丁畷駅の裏手に回って、さらに旧街道を進みます。赤い電車をよく見かけますね。BGMにくるりの曲をかけたくなります。

鶴見川を渡って鶴見駅へ。もう一度国道15号線に合流します。あとはひたすら15号線をぐいぐい南下していきましょう。

神奈川駅までやってきました。右側が東海道ですが、今日の目的地はみなとみらい。左側へ折れていきます。
ここまで所要時間は約2時間。自転車って便利ですね、江戸時代のお伊勢参りをする方々にもプレゼントしてあげたい。

いつか東海道はもっと先まで、欲を言えば京都まで走ってみたいですね。
みなとみらいへ入っていきます。高層マンションが立ち並び、未来的な風景です。ペリーが来航するまでは寂れた漁村だった横浜が、わずか1世紀半あまりでこうなるとは、本当にびっくりです。

午前9時15分、パシフィコ横浜到着です。30km少々の短い午前のツーリングでしたが、東海道はやっぱり見所が多くて楽しいですね。今度は赤穂浪士で有名な泉岳寺や、生麦事件の跡なども観光しながら走ってみましょうか。

それではお仕事です。読んでくださってありがとうございました。

今回のルートです。
http://yahoo.jp/DC5CoX

#自転車 #ブロンプトン

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