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個人開発サービス「Moyuk」をProduct Huntでローンチするまでの道のりと教訓

先月、個人開発サービス MoyukProduct Hunt でローンチしたので、開発〜ローンチまでの過程と学びみたいなことを書きたいと思います。

About Me

医療スタートアップで電子カルテ・レセコンを作りつつ個人開発しています。

作ったもの

サービスの詳しい紹介はこちらに書いたので読んでみてください 🙏

技術的なことはこちら:

開発開始からローンチまでの軌跡

1. 作ることを決意(2021年12月)

個人開発をやろうと思い立ちました。以前から自分のプロダクトを作り、育て、あわよくばそれで食べていきたいと思っていました。
アイデアは昔からいろいろストックしていて、その中から自分がユーザーになれるもの かつ 面白いと思ったものを選びました。完全にアイデアドリブンでしたが、個人開発だしそれでいいやと思っていました。

2. コンセプト整理(2021年12月)

コンセプトを整理しました。ユーザーステートメントして最終的にこんな感じのものを書きました。

この書き方は GitHub Next に掲載されているプロジェクトを参考にしました。

また、Figma で UI のイメージも作り、何人かの友人に壁打ちしてもらいました。

初期段階のUIデザインの一
(これは未実装ですが)デスクトップから簡単に呼び出せたらいいなあ…とかも考えていました

他にも競合調査や技術的な実現可能性の調査を行いました。

3. 作り始める(2022年1月)

時間を確保するために週3社員にさせてもらいました。(弊社には柔軟な働き方をしている社員が他にもいます。良い会社。)

ここから一年以上、途中で何回も心が折れながらも、開発を続けます。

詳細はバッサリと割愛しますが、コアかつ不確実性が高い部分から作り始め、データの出し入れや認証などバックエンドは技術選定ごと後回しにしました。

4. インフラ構築(2022年12月)

動くものができたので実際の環境を用意して一旦デプロイしてみました。

Vercel、Supabase、Cloudflare などの素晴らしいサービスのおかげで、約1日で完了しました。まだユーザーがついていないので無料枠で十分でした。(というか未だに無料枠でやれています。)

5. 使ってもらう(2023年2月)

足りない機能を作りつつ、人に見せられる状態になってきたので、身近な人に使ってもらいフィードバックもらいました。それを受けて最低限なおすべきところを修正していきます。使ってくれた人は全員説明なしでも使いこなしてくれてユーザビリティには問題がないことを確認できました。

ただ自分自身も含め、普段そこまで Moyuk を使うシーンがなく、薄々感づいてはいたけどこの段階ではまだ "強烈なペイン" をあまり解決できていないかもしれないと感じました。

が、ここまで来たらとにかくリリースしてしまいたい。個人開発だしいいじゃんと開き直ります。

6. LP、利用規約、プライバリーポリシーを作る(2023年2月)

まず間に合わせのランディングページをを作りました。コンテンツを Notion で作り、メールアドレスを取得するためのフォームを Notion Form で作り、独自ドメインをつけて公開しました。グローバルに展開するサービスなのでコンテンツはすべて英語です。

本リリース用のLPを作りながら、利用規約、プライバリーポリシーも作りました。利用規約、プライバシーポリシーの生成サービスがいくつかあるのでそれらの結果を混ぜ合わせ、既存の類似点のあるサービスを参考にしてこねくり回して作りました。

GDPR に関する記述も頑張って書きましたが難しすぎました。まだヒットするかどうかわからないのに GDPR に完全に対応するのは時間がかかりすぎると判断し、「GDPR の影響を受ける地域にお住まいの場合は使わないで。」的な記述を追加しました。GDPR は個人開発者殺しです…。

7. マーケティング的なこと(2023年2〜3月)

(わかってはいたけど)自分の発信力のなさに愕然としました。今まで SNS でフォロワー増やしたいと思ったことがあまりなく、性格的にも自分の発言や行動をパブリックな場にさらすことに心理的ハードルがあったのでまあそんな感じでした。

影響力/発信力というのは一朝一夕で獲得できるものではなく、もっと早くこの弱点を克服する方法を考えておけば良かったと後悔しました。

8. Product Hunt へのローンチ準備(2023年3月下旬〜4月上旬)

Product Hunt はプロダクト投稿サイトで、投票によって日毎にランキングが作られます。Product Hunt は Moyuk を作るずっと前から見ていて、いつか自分のプロダクトを Submit したいと思っていました。

8.1. Product Hunt への投稿をスケジューリング

公式が用意してくれているガイドを参考にコンテンツを用意します。コンテンツは英語で書く必要があるので、DeepL や ChatGPT を使って捏ねくり回して作り、最後にネイティブの方にチェックしてもらいました。

実際に作ったコンテンツはこちらです。

Product Hunt への投稿は事前にスケジューリングできるので、日程を決めてレースの開始時刻(日本時間16:01)ちょうどに投稿されるようにしておきます。流入数で言うと火曜〜金曜が良く、良い順位を取りたいなら土日がライバルが少ないからいいらしいです。Moyuk のローンチは中途半端な月曜日を選びました。

また、投稿をスケジューリングしたらやっておくことがあります。

LP に Badge を入れる
LP から Product Hunt のローンチページへの動線として、↓のようなバッジを LP の目立つところに置いておきます。埋め込む用のコードは PH が用意してくれるのでそれを貼り付けるだけです。

Teaser を作る
Product Hunt で投稿をスケジューリングしたあとに Teaser(ローンチのチョイ見せ、予告)を作ることができるので一応やっておきます。Teaser は Coming soon に一覧表示されます。

8.2. 記事を書く

プロダクトのローンチページへの流入を増やすためにプロダクト紹介記事を用意しておき、ローンチと同時に出します。

8.3. Made with Supabase へ掲載準備

Made with SupabaseSupabase という技術を使って作られたサービスが紹介されているサイトです。Moyuk は内部で Supabase を使っているので、こちらも Product Hunt でのローンチと同時くらいに掲載されるようにしておきます。(通常1週間程度で掲載されますが、中の人に連絡すれば掲載日をコントロールできます。)

9. ローンチ当日(2023年4月10日)

16:01 に自動的に Product Hunt に投稿されるので、Twitter や各種 SNS でシェアします。
同時に用意しておいた記事を Zenn、note などに投下します。Zenn に書いた記事は Trend のトップになりまあまあ流入がありました。英語で書いた記事はそもそも英語圏での人脈がなく誰にも届きませんでした😂
また、Made with Supabase にプロダクトが掲載されると公式アカが Tweet してくれるのでそれを Retweet します。

あとは Product Hunt でコメントがあったときに返信して、順位を注視します。オーガニックで7件コメントがつき、とても嬉しかったので、自分も良いプロダクトを見つけたらコメントしようと思いました。

最終的な順位は18位で終わりました。

反省と教訓

プロジェクトを振り返り、いくつかの反省点と教訓があります。

小さく始めよう

プロダクト開発では間違ったものを作ってしまうリスクと常に向き合う必要があります。個人開発ならアイデアドリブンで自分が欲しい物作るのもいいですが、その場合はスコープを限界まで小さくして作り、なるべく早いタイミングで世間からフィードバックをもらうのがいいと思います。例えば Moyuk の場合は、認証・認可やアプリの管理機能を省いて、App を作る → URLで共有する、というコア部分だけを一旦作って世に出してみるべきでした。

影響力・発信力はやっぱり重要

プロダクトそのものの面白さと同じくらい、プロダクトが多くの人の目に触れること、そのための発信力やコネクションがあることも重要です。

フォロワーを増やすことを目的に行動するのは違う気がしますが、次に何か作るときには Build in public みたいな取り組みをちゃんとやろうと決意しました。プロダクトの宣伝になることに加えて、作る過程でサービスやアイデアにどの程度の引きがあるかがある程度わかるというのも大事です。

人間の見積り能力は当てにならない

当初の想定では長引いても10ヶ月程度でリリースする予定でしたが、実際はその1.5倍くらいかかりました。私は今までの経験からなんとなくこのような法則を提唱したいです。

  • 人は自分が作りたいものは小さく見積もり、やりたくないことは大きく見積もる

  • 3ヶ月以上の計画は、だいたい延びる

「選択と集中」の誤用に注意

1年以上の間、開発以外のすべてを後回しにしていました。読書、趣味、新しいことを始めること、人と会うこと、etc…。

私は、一番重要なことや確実にやらなければならないことをまず終わらせるべきで、それが終わってから次のことをやるのが正しいと信じていました。それが ”アジャイル” 精神であり、”エッセンシャル思考” であり、”Get Things Done” の精神だものなどと思っていました。が、このような考え方は課題を適切な粒度に分解し、俯瞰して優先度を決定するという前段があって初めて成立するのだと思います。これを怠るのは選択と集中ではなく思考停止です。

今後

Moyuk はちょっとずつ改善したいと思っています。昨今の Generative AI の盛り上がりを見ていると Moyuk の存在価値も相対的に下がりそうだなあと思いつつも、Moyuk は道具性が高いので何かしらの可能性が埋まっているかもしれないという期待もあり、地道にやっていこうと思います。
また Moyuk 以外にも自分がおもしろいと思えるものを作り続けたいです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。よかったら Moyuk を使ってみてください。

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