見出し画像

ROOFプロジェクト誕生ストーリー

ROOF(ルーフ)は、「自然と、繋がろう」を掲げて、国産杉を使った都市型コンポストを提供しています。オリジナル基材を入れた竹繊維で作ったオリジナル容器にキッチンから出る生ごみを入れると有機堆肥となり、ハーブ、野菜や観葉植物を育てることができる土を作ることができる商品・サービスです。

今回は、SOYMIL(ソイミル)からなぜROOFが生まれてきたのかを紹介していきます。



1.鹿児島での体験 ~人と人の媒介となる植物〜

2022年の秋頃から、経営者友人の勧めから「自身のルーツと向き合うこと」をライフワークにしていました。除籍謄本をとって家系図を作ったり、墓参りで先祖と向き合ってきました。そんな流れで、2023年の年初に退院した祖父と会いに鹿児島県鹿屋市に行きました。

92歳の祖父のために日の出から日没まで庭の枝打ち、畑の除草など、ひたすら肉体労働に勤しんでいました。そんな鹿児島訪問での大きな発見は、人間のコミュニケーションの原点になるような光景を垣間見たことです。

祖父母の家に隣接している畑

都市部にいると想像しにくいのですが、近くの人が家の玄関や庭に来て収穫した野菜を配ったり、物々交換をしたりするのはごく一般的な光景です。

また、外で作業するのが難しくなった祖父が縁側でプランターを集めて植物や盆栽の世話をする様子を見て、何歳になってもどのような状態になっても植物を育てて、近隣の人と接点を持つことは人生を楽しむ方法なんだと感じました。植物を介した人との繋がりには人間の生き方にとって核心的な何かがあることに気づきました。

昭和28年(1953年)の祖母の卒業アルバム


2.自然の循環を感じた秋田訪問 〜茎や根が土に還っていく〜

TwitterやYoutubeで大豆栽培や地方の人間関係を話したり、ドローンで空撮を行っている方とTwitter上でのやりとりで意気投合しました。SOYMILで新しい取引先となっていただくことをお願いするために、2023年の4月に秋田県大仙市へ行きました。その方は農業法人に勤めているため、勤務開始前の時間を調整してくださり、午前3時半に濃霧の中で集合しました。車の中でSOYMILの事業で発信していきたいことをひたすらインタビューしていました。

午前6時半頃には日が出て明るくなったので、大豆や米の圃場を歩きながら、お話しをさせていただきました。そこで、気になったのは刈り取ることなく放置された茎や根です。前年の秋に収穫した後そのまま放置し、雪解け後に土に戻すことで翌年の栽培に繋いでいく話を伺いました。

秋田県大仙市の農業法人さん

また、それだけではなく何者かになろうとして故郷を飛び出し、札幌、仙台、東京を点々としていた20代の頃の話を伺いました。何者かになろうとするのではなく、先祖が紡いできた歴史や文化の中で新しい取り組みを発信している生き方が印象的で、20代で何者かになろうとして自分を見失っていた私にとって突き刺さる話ばかりでした。

自然の摂理を活かすこと、それは文化を未来へ紡いることにも繋がる点に大変興味を持ち、SOYMILと同時並行で、何かしらの事業を行いたいという思いが強くなりました。


3.木材発酵技術に触れた滋賀訪問 〜事業化を決意〜

鹿児島と秋田で意気込んだものの、何をどうしようかアイディアはありません。また、私は土壌学の専門家ではないのでググった知識では付け焼刃になり、どのようなことをするのか悩みに悩んでいました。

そんなある日、Youtubeを開いたら木材発酵技術を紹介する動画を見かけました。滋賀県にある島本微生物工業さんの製品紹介動画で制作されたものです。木材発酵の過程を見る中で、鹿児島と秋田で感じたことを一気に形にできそうだと直感し、会社の問合せフォームに動画の感想を伝えた上で、訪問させていただくお願いをして、動画を見た数日後に滋賀へ訪問しました。

木材堆肥の発酵試験の過程

島本微生物工業さんは、1940年代に日本で初めて微生物資材の開発に成功した微生物と酵素のパイオニアで、現在も日本を含めて数カ国で研究開発を行っています。木材端材、天候不良や強風等で落ちた野菜や果物、食品残渣を堆肥化している様子を紹介してくださったり、堆肥を使って肥沃になった圃場の土を紹介してくださったりする中で、「堆肥化をキッカケに世界に広めていける価値を作れる」と確信しました。また、この時にどうしてもこの分野を事業化していきたい!と島本微生物工業さんに伝えて協力していただくことになりました。本当に感謝しています。

木材堆肥の発酵試験の過程


4.自然と人との関係を見直す時代に

大学時代の友人起業家が企画したイベントも大きなキッカケになりました。友人起業家、VC(ベンチャー企業投資家)やその家族の方が参加して、千葉県北総大地の森の中にある農園で間伐や収穫体験を行いました。

千葉県印西市の里山の様子

参加者の属性上、企業経営やスタートアップ企業への投資の話で盛り上がりましたが、どの話も自然界の何かしらの事象と深い繋がりがあることに気付きました。

現地のコーディネーターの方が日本の林業や森林の社会課題や歴史的経緯を説明いただく中で、森林の社会課題に限らず現在地球規模で発生している環境問題は人間と自然の関係の変化に起因するものであり、この関係を見直すキッカケとなるような事業を作ることで、人の生き方や人類社会に新しいあり方を提案できるような事業が有機的に広がることを感じています。

溝ぐされ病になった杉を間伐


5.ROOF(ルーフ)名称の由来

ROOFの原点は2023年4月に訪れた鹿児島での畑作業と縁側で植物を育てる祖父の生き方です。縁側はverandaですが、この場で生まれたものがrooftop(屋上)で広がることを想像できました。

また、rooftopの語源である古英語hrofは「空」、出発点という意味があります。

hrōf, m.n: the roof, the top, summit, highest part. (HROAF / ˈhroːf)

Old English Wordhord
https://oldenglishwordhord.com/2017/03/16/hrof/

ヒンドゥー教(シャクティ派)では、すべての出発点を一つの点(bindu)で表現しています。また、仏教では「空(くう)」は、空即是色。この世の一切と繋がるという意味があります。

2024年年初から販売を始める「コンポスト」は一つのサービス、出発になりますが、ここから新しい人や文化と有機的につながり、自社事業のみならず協業パートナーが広がって、この世の一切と繋がっていくような概念にしたいと考えています。

このような経緯から、名称がROOFに決まりました。


つづく


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

▽ROOF Instagram公式ページ

▽ROOF 公式LINE


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?