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【論文紹介】シングルセルATAC-seqのベンチマーキング: Nature Biotechnology

単一細胞ATACシークエンス(scATAC-seq)プロトコルの体系的ベンチマーキングに関する論文。2023年8月3日公開。開発者であるWilliam GreenleafやJason D. Buenrostroらが名を連ねる。結論は、10XやddSEQなど、手法ごとに見え方変わりますよ、ということらしい。

https://www.nature.com/articles/s41587-023-01881-x

背景:
単一細胞シークエンス研究におけるデータの品質は、成功した解釈に直接影響を与えます。高い分子カウントを生成する技術は、細胞の正確な特徴付けを可能にし、組織生物学に関する深い洞察をもたらします。scRNA-seq技術のための体系的なベンチマーキング努力が行われていますが、クロマチンアクセシビリティプロファイリング技術に関してはまだ不足しています。

方法:
8つのscATAC-seq方法を47の実験を通じてベンチマークしました。これらの方法にはBio-Rad ddSEQ, HyDrop, s3-ATAC、および10x Genomics scATAC-seqアッセイの異なるバリアントが含まれます。参照サンプルとして末梢血単核細胞(PBMC)が使用され、複数の品質管理指標を通じて方法の性能を体系的に評価しました。データは、PUMATACパイプラインを使用して解析されました。

結果:
異なるプロトコル間で大きな違いが見られ、これにはシークエンスライブラリの複雑さやタグメンテーションの特異性が影響しています。これらの違いは、細胞型アノテーション、遺伝子型のデマルチプレクシング、ピークコール、異質領域アクセシビリティ、および転写因子モチーフの濃縮などのデータ分析および解釈の重要な機能に影響を与えます。 

議論:
各プロトコルは、細胞型の同定と転写因子活動については大まかに合意していましたが、シークエンスライブラリの品質と開放クロマチンサイトへのタグメンテーション特異性において大きな違いがありました。特に、HyDropとs3-ATACはほとんどの品質管理指標で大幅に低いパフォーマンスを示しました。

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