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【論文紹介】マウス脳のシングルセルクロマチンアクセシビリティアトラス: Nature

シングルセル解析をはじめ、オミクス解析で有名なBing Renラボからの論文。Paper Interpreterを使用しています。

https://www.nature.com/articles/s41586-023-06824-9

抄録(Abstract)
この研究は、大人のマウス脳におけるクロマチンアクセシビリティの単一細胞解析を通じて、約100万のcCREと1,482の異なる脳細胞集団のクロマチンアクセシビリティを含む包括的なアトラスを報告しています。この研究は、マウスとヒトの脳における細胞型特異的遺伝子調節プログラムの解析のための重要なリソースを提供します。

背景(Background)
この研究は、哺乳動物の脳における細胞と分子の包括的な理解を目指すBrain Initiative Cell Census Networkの一環です。ラボマウスは、遺伝子機能の生体内研究や治療薬の開発と安全性評価において重要な役割を果たしています。この研究では、数百のサブクラスと数千の細胞タイプを特定していますが、細胞タイプごとのアイデンティティと遺伝子発現パターンに関与するCREの理解を深めることが目的です。

方法(Methods)
この研究では、snATAC-seqを用いて、大人のマウス脳全体にわたるクロマチンアクセシビリティを単一細胞解像度でプロファイリングしました。これにより、1,482の脳細胞タイプを代表するcCREの包括的なマップを作成しました。

結果(Results)
1,482のサブタイプごとにcCREを同定し、1,053,811のオープンクロマチン領域(cCRE)を特定しました。これらはマウスゲノムの19%を占め、以前の研究で報告されたcCREを拡大しました。これらのcCREは、マウス特有のものであり、ヒト脳との中程度の保存性があります。

議論(Discussions)
この研究では、マウス脳のcCREの大部分はヒトゲノムで配列相同性があり、ヒト脳細胞でのクロマチンアクセシビリティが示されています。これは遺伝子調節機能の保存を示唆しています。特に、興奮性ニューロンのサブクラスで特定されたマウス特有のcCREは、遺伝子調節プログラムの新たな出現とニューロンの多様性における転移因子の潜在的な役割を示唆しています。

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