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金を使わない漆継ぎ

「金継ぎ」というとどうしても金ばかりに注目が集まりがちだが、金粉は最終の装飾の役割を担っているだけで、金によって割れた破片がつながるわけではない。以前「せっかく金粉を買ったのに器が繋がらないじゃないか!」とおっしゃるアメリカの方がいらっしゃったが、それはハリー・ポッターに依頼してくれ。接着作用をもっているのは漆だ。割れた土器を漆で直し始めたのは9,000年前の縄文時代だと言われており、金粉による装飾を提唱したのは安土桃山時代の千利休という人だと言われている。この急須は、注ぎ口の瑪瑙と本体の陶器の間にできた隙間を埋めてほしいというご依頼だった。米糊と木粉と漆を練った木屎漆をヘラで隙間に埋めていき、表面は梨地用の透明度が高い漆でコーティングする。銀彩釉薬の経年変化と漆の色の相性がしっくりきたので、金粉も銀粉も蒔かずに修復完了。修復跡の存在感を限りなく消すことも仕事のひとつ。

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こちらの投稿をご覧頂いている方に限り、壊れた器のお直しをお受けしています。
ご希望の方は、お分かりの範囲で構いませんので、器の写真、修復箇所のサイズ、素材、産地、作り手についてDMにてお知らせください。まずお見積もりから始めさせていただきます。納期は2ヶ月です。御請求書は納品の際に同封いたします。送料は依頼主様におもちいただきます。
より詳しい情報が分かれば、お見積もり及び作業がよりスムーズとなります。また、器との出会いや想い入れについてもご教示いただけましたら、私のテンションが上がります。
参考までですが、私たちの金継ぎは、欠け、ひび、割れ、いずれも一箇所につき四千円〜となります。材料は米、木粉、砥粉、漆、金粉(銀粉)の自然素材のみです。金継ぎ等の修復歴四十年の蒔絵師の親方とともにお直しいたします。
普段は修復に関しては骨董商様、各小売店様からの依頼のみをお受けしていましたが、このコロナによる影響を踏まえ、SNSを通したご依頼もお受けしてみようということになりました。皆様お気軽にご相談ください。
※漆を使った金継ぎのため、ガラス製品のお直しはお受けしかねます。※一度瞬間接着剤を用いられたものはお受けしかねます。※漆器については部分的な欠けのお直しのみお受けします。

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