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終始圧倒されっぱなしの鳥取。

 カーナビに鳥取までの道のりを聞くと、到着時刻は4時間半後。
 「200km程度の距離のはずなのに、なぜだろう。」半信半疑で向かうと、鳥取自動車道が伸びたらしく1時間程短縮して夕方17時には鳥取に到着。
 この道が全線開通するまではさらに1時間かかったらしく、あやうく待ち合せに遅れるところだった。

 「ベーグル喫茶 森の生活者」で、「とりいくぐる」の野口くんと会う予定になっていた。お店の近くまで来て、どこかに駐車場が無いかと探しながら交差点に差し掛かると、「その先の立駐に停めればいいからっ!」と助手席の窓から野口くんが現れた。

 車を停めて歩いてお店に向かうと、野口くんが交差点の向こう側で待ち構えるように写真を撮っている。前にあったのは5月だったから半年くらいになるだろうか、レモンスカッシュで喉を潤しクランベリーのベーグルに舌鼓を打ちながらお互いの近況報告を。鹿児島から名古屋に帰るときには決まってとりいくぐるに泊まるので、そのときに考えていることやこれからのことなんかを話すことが多くなる。
 帰省時に会う地元の友達のような感覚、とでも言えばいいだろうか。しかも別れ際には、ベーグルのラスクをお土産に買ってくれるという優しさ、最高です。

 そのあとは、大学時代の後輩が所属していた「グランドライン」が内装を手がけた、古本屋「邯鄲堂」に閉店30分前に滑り込み店主と少し話をさせて頂き、今日の宿「たみ」へ。

 「たみ」にチェックインしたのは20時頃で、なぜかオーナーの三宅さんと卓球をしながら自己紹介をするという状況に。
 オギーソニックの由来やフリーにならざるを得なくなった昔話などをしながらラリーを続け、卓球がヘタクソじゃなくてよかったと、実はこのとき切に思ったりしていた。すると、隣で晩御飯を食べていた2階に住むオオウラくん(設計事務所勤務のクライマー)には崖登りの魅力を語られ、終いには「クライマー専門の宿を作ってくださいよ、そしたら行くんで!」などと言われる。
ゲストハウスだけではなくて、シェハウスとして2階に住む人たちが共用部分を常に使っているのは、ゲストとしてもなんだか安心するようだ。
 人を見て、判断して、声をかけているとは思うけれど、宿に泊まり来たというより、友達の家に泊まりに来たような気分にさせてくれる。
うん、宿っぽくないのだ。なぜかビジネスの臭いがあまりしない、来たかったら泊めてあげるよ、みたいなスタンス。
 僕もこういうスタンスで宿をやれたらと、妄想する。所謂住み開きのような等を。

 晩ご飯を食べていなかった僕らは、「たみ」に併設されているカフェでカレーにありつき、野口くんにオススメされた古本屋「汽水空港」に連れていってもらった。自分で倉庫をフルリノベーションしてお店にし、その奥に3坪ほどの小屋をセルフビルドで作って住んでいるという強者。しかも、その過程を鳥取に移住した監督が映画にしてるって言うから驚きだ。

 すでに営業は終了していたのにわざわざお店開けてくれて色々な話を聞いたのだけど、面白くて興味深い話ばかり。それはぜひ、汽水空港を訪れて店主のモリテツヤくんの口から直接聞いてほしい。
ここで購入した福井土産は、カレーぽん。テツヤくんがセレクトしたスパイシーな本が入ってるそうで、他に甘い本をセレクトした、あんぽんていうのもある。テツヤくん自身も、中にどんな本が入ってるか分からないというから面白い。汽水空港ができるまでのブログなんてのもあるので、興味のある方は覗いてもらえれば。

 鳥取に着いてから会う人会う人、個性が有り余る人たちばかりで、終始圧倒されっぱなしの4時間。

 鳥取1日目はこんな感じで幕を閉じ、次の日の朝は少しだけ早く起きて、人一人通れるくらいの細い路地を抜けた先にある寿湯という小さな温泉へ。温泉から出て身支度を終えたあとは、たみの玄関で1時間ほど、三宅さんと前述した監督の中森さんとゆるくおしゃべり。重複するのだけど、2階がシェアハウスでゲストよりも住んでる人が多いこともあってか、なんだか本当に友達の家に来たみたいにゆっくりできる。もはや、期間を決めて3ヶ月くらい住んでみたいと思ったくらいだ。

 そのあとは、東郷池のほとりにある「hakusen」というカフェでモーニングコーヒーを。「shozo cafe」で働いていた人がオープンしたカフェで、コーヒーもケーキも美味しくて、店内は落ち着いたシンプルな佇まいで、立地が池のほとりというのが効いている。あたかも北欧にでもいるかのような気分で、他のお店とのギャップが良い意味で激しく振り幅が広すぎる鳥取。そういうところがまた面白いのだけれど。

 「hakusen」での興奮冷めやらぬまま「たみ」に戻ると、チェックアウトする僕らを見送りにぞろぞろと玄関にみんなが集まってきた。なぜかオギソニTシャツ即売会が始まったり、さらに話に花が咲いて、最終的に「たみ」を出たのはそれから2時間後。当初の予定をすでに3時間ほど押しているという罠。

 みんながお昼ご飯にという「牛骨ラーメン」を次回に回し、僕らは「夜長茶廊」のカレーを食べに、倉吉まで車を走らせた。「ここのバターチキンカレーは飲めるやつだから。」と三宅さんから聞き、「またまた、そりゃ言い過ぎでしょう。」と高を括って一口食べると、思わず「これは飲めるやつだ!!」と向かいに座る理絵ちゃんに報告するほど美味しかった。

 倉吉のことは何も調べずに来てたので、夜長茶廊のあとは三宅さんから唯一教えてもらっていた「cocorostore」へ。長野県の松本市で4〜5年民藝家具の製作に携わっていた田中さんが、地元の作家さん作品などをセレクトして販売しているお店だ。お互いに自己紹介をして話をすると色んなことに共感し、それに共感出来ずにただ傍観する理絵ちゃんがいるという、なんとも変わった構図。今月末に、鹿児島の商業施設「マルヤガーデンズ」にある「d&department Kagoshima」のイベントに呼ばれているらしく、鹿児島でまた会いましょうと約束をした。

 最後に障害者の人たちが描いた絵を展示しているギャラリーにも連れてってもらうと、「あの、NHKのテレビに出てた方ですよね?」と、受付の女性が理絵ちゃんの顔を見た瞬間に興奮気味に話しかけるものだから、端から見てる僕は大笑い。NHKって国営放送なだけに、やっぱりすごく影響力のあるテレビ局なのだと再確認。

 とりいくぐるのみんなには、倉吉名物のたい焼きをお土産に。
 次は岡山県です。

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