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週刊牛乳屋新聞#41(中国で出会った「森会長」)

おはようございます。牛乳屋です。

言わずも知れた森会長のこの発言は案の定、多方面で非難を集めています。森会長の謝罪会見を見ましたが、本人は「本当のことを言っただけなのに何が悪いんだ?」という表情に見て取れました。

森会長は、学生時代にラグビーでの挫折や自民党公認を取れなかった初選挙など、たくさんの苦労を経てきた方で、数多くの人間模様を見てきたことでしょう。苦労人だからこそ見えてきた景色があるがゆえに、「女性とは~」と主語を大きくして語ったのでしょう。主語を大きくして「真理」っぽいことを語ることは誰にでもあることであり、本文では「森会長」的要素として扱います。

私は森会長の一連の騒動を見ている中で、中国で出会った「森会長」的な人のことを思い出しましたので、事例を紹介させていただきます。

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留学当時、21歳の私は友人の誘いを受けて日本人学生と中国人学生が交流する学生団体のイベントに参加しました。そのイベントで年齢が近い張さん(仮名)という中国人男性と知り合いました。張さんは日本のアニメや漫画が好きで日本語を独学で勉強しており、簡単な会話であればゆっくりと話せるほどの日本語力でした。細身で眉毛が太く眼鏡をかけたスポーツ刈りのどこにでもいそうな風貌の大学生です。

イベント終了後も頻繁にQQで連絡が来ており、よくチャットする仲でした。留学中は分け隔てなく人と交流を持って、中国語力を磨こうと思っていたので断ることなく何度か一緒に食事に行きました。学校のことや故郷のことなど普通の話題で盛り上がっており、会う回数が増えるにつれ話題もどんどん増えていきました。

ある日のこと、日中の恋愛事情について話をしていた時に、張さんから「知り合いの日本人の女性を紹介してくれ」と言われました。「中国にも魅力的な女性が多いではないか?なぜ日本人か?」と思い、なぜ?を何度か問いました。

すると、

「日本人の女性は面倒ではないし、周囲に自慢できるから」

と驚きの一言が返ってきました。彼はネットで見てきた日本人女性とイベントで少し話した日本人女性のイメージで、このような認知を作り上げたのです。「日本人女性は〇〇だ!」と信じて疑わない姿はまさに主語を大きくして語る森会長のようでした。

その発言がきっかけで私は張さんにQQで返信する気が無くなり、会う意欲も失せ、次第に疎遠になっていきました。

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僕も日常生活を振り返ると、自分に親和性のある情報を信じ、認知的なストレスがある情報への向き合い方に戸惑うことは頻繁にあります。自分の経験を根拠に、「〇〇人は~~」とか「〇〇(国・地域)は~~」と認識していることがあるかもしれませんし、どこかでうっかりと発言しているかもしれません。

森会長は苦労の多い人生の中で、見えてきたことがあるのでしょう。ただ、年長者である森会長に対して誰もが忖度をしてしまい、違和感を申し立てる制度も人も存在しないまま本日に至ったのが日本オリンピック委員会であり、それが露呈したのが森会長の発言だったのだと思うのです。これは部活、サークル、会社などの日本の津々浦々にある組織で散見する光景です。

森会長が悪い、アイツが悪い、誰々が悪いと言っている間は一人ひとりの中に存在する「森会長」は残ったままです。いずれ新しい人が出てきて、また差別発言をすることでしょう。

森会長の一件を踏まえ、主語を大きくして真理を語りがちな自分の中の「森会長」と向き合うことから始めたいと思います。私たち一人ひとりが当事者意識をもって考えるべき機会として認識していきたいです。

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