見出し画像

アルケゴス事件

レバレッジ取引で5兆円長の運用をしていたとも言われているアルケゴス・キャピタル・マネジメントが破綻。

アルケゴスとは

 アルケゴスは、ヘッジファンド出身者のビル・フアン(Bill Hwang)氏の、一族の資産管理をするファミリーオフィス。規制上、情報開示の義務はない。
アルケゴスの元手の資産は5500億〜1兆1000億円(50億〜100億ドル)であり、レバレッジをきかせた運用総額は5兆5000億円〜11兆円(500億〜1000億ドル)に上ると市場関係者たちは試算。アルケゴスのポジションの全体像はまだつかめていないため、金融機関各社もポジション解消が終わったかどうか定かではないが、巨大ヘッジファンド並の運用規模だった。アルケゴスはリーマン・ショック後の厳しい金融規制の目をかいくぐり、これまで外の世界に知られることなく巨額の売買をしていた。

 今回、アルケゴスが多額の借金を返済できないデフォルトに陥ったために、金融各社の損失は巨額となる。ヘッジファンド並の取引をしていたアルケゴスは、世界の金融各社にとって上顧客だが、アルケゴスの大きな賭けを手助けしていたことが裏目に出た格好だ。アルケゴスの運用成績の悪化の引き金はまだ不明だが、市場ではバイアコムCBSの増資発表に伴う株価下落だったのではないかと見られている。

今回の事件の影響

 全金融機関の合計で損失は最大100億ドル(1兆1000億円)に膨らむという。ゴールドマン・サックス やモルガン・スタンレーは3月26日には早期対応してアルケゴスが保有していた株式売却により損失を抑えられたが、対応が遅れ多大な損失を被った金融機関では大きな損失が発生している。

クレディ・スイス:約30-50億ドル

ドイツ銀行:約40億ドル

野村ホールディングス:約20億ドル

三菱UFJ証券ホールディングス:約3億ドル

みずほ銀行:約3億ドル

日本国内大手金融系への株価影響 (3/26終値→3/31終値の下落率)

三菱UFJ FG ▲6%

三井住友FG ▲6%

東京海上HG ▲4%

第一生命HG ▲4%

 事態は3月26日に表面化。震源地はアメリカだ。世界中の金融機関から多額の借金をして、自己資金の何倍ものレバレッジをきかせて株式の売買をしていた。ところが運用成績が悪化して、追加の担保を求められたことに応じられなかった。規模感大きく、金融市場を震撼させてしまったが、波紋は限定的であり金融市場全体への影響は少ないとも言われている。しかし、レバレッジを効かせているのはヘッジファンドだけでなく個人投資家も多いことを考えると、改めてこういった市場動向次第では損失拡大の恐れがあることを知らされる。

ファミリーオフィスとは

 超富裕層の個人資産の管理・運用等をする会社。世界に1万以上存在、全資産規模は5兆ドルを超える。ヘッジファンドとは異なり、他顧客の預かり資産はなく、損失や投げ売りが波及にくい点あり。今回のアルケゴスはファミリーオフィスであり、バイアコムCBSやディスカバリーなど多くを保有。大規模な資金で過剰リスクをとった投資家が明るみに出て、株価の急落により追証が発生し、投げ売りに追われたとみられている。

#アルケゴス #ファミリーオフィス #資産 #金融  

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?